第66話 女子トーク


 もう半年以上同じクラスだがお互いのこと、特に桐花、伊集院と女子3人は互いに良く分かっていない。


 来夢が司会役を務めてみんなに自己紹介をさせる。


 「伊集院乱児です、みんなと同じクラスで趣味は筋トレかな」そう言ってシャツをまくって腹筋を見せつける。言うだけあってしっかりと割れてる。


 「桐花ルーカスです、趣味と言うか幼稚園の頃から空手やってます、オス」


 おおーという声が上がる。


 そのあと女子3人と来夢らいむが簡単に自己紹介をした。


 食事をし始めると共通の話題、学校の先生の愚痴ぐちが始まり盛り上がってきた。


 「小津源おづみなもとって代表なんだろ?」伊集院が絡む。


 「うちは代表って言っても埼玉県のU-18だから」


 「それでもすごいよな?ルーカス」


 「すごいよ!俺なんて空手で代表になったことなんてないからさ」


 「でも幼稚園の時から空手ってすごいと思うな」結愛ゆあが短い髪の毛をかきあげながら話す。


 「たしかに気づいたら幼稚園からやってるのは俺だけになったかもしれん」


 「神無月かんなづきは来夢と2人暮らしなんだろ?」伊集院がずけずけと聞いてくる。


 「2人暮らしって訳じゃないわよ同じ敷地にパパもママもいるから、建物が別ってだけ」


 「来夢はイケメンで部長なだけでなくて豪邸に住んでいてこんな美少女の姉までいるって、お前前世でどれだけ徳を積んだんだ?」


 「乱児が思うようないいことはそんなにないぞ?」


 「そうなのかあ??」怪しいといった目で来夢を見る。


 「そういえば高梨たかなしさんは絵を描くんだ?アニメのキャラクターとか?」ルーカスが話を振る。


 「あ、そういうんじゃないんだよね、風景画とか」


 「おー!本格的!そっちの道を目指すの?」


 「ううん、絵を描くのは趣味で終わらせるつもり」


 「そうなんだ、でも高梨さんなら芸能人になってもおかしくないくらい可愛いよね」


 「芸能人??そんなこと考えたこともないよ」



 じっくり話すのは初めてな6人だったがそれなりに盛り上がっていた。


 始まってから1時間くらいすると女子3人がトイレに立つ。


 鏡の前で化粧直しをしながら結愛が他の2人に宣言する。


 「うるはと夢奈ゆめなは決まった人いるから、ぶっちゃけこれはうちのための合コンだよね?」


 「なあに?結愛にもコーチがいるでしょ?」夢奈が反論する。


 「コーチは所詮人のモノ、うちはうちの幸せをつかむわ」


 「結愛はどっちがいいと思ったの?」うるはが聞いてみる。


 「んー、乱児はやんちゃしてそうだけど良く物事考えていそうだし、ルーカスは高身長でイケメンだよね、それにハーフだし」


 「どっちでもいいってこと?」あきれた様に夢奈が確認する。


 「そういうわけじゃないけど・・・」


 「あ、でもルーカスはうるはにめっちゃ絡んでいたよね」


 「そうかな?初めの方だけでしょ?」


 「ううん、絶対うるは狙っているよ」


 「えー・・・それはちょっと困るかなあ」



 女子が席に戻るとみんなでチャットアドレスを交換しようという話になっていた。


 個別のチャットでなくてこの6人のグループチャットならいいということになり【Mの会】というそれっぽい名前を付けたグループチャットに全員登録した。


 グループチャットであっても履歴から個別チャットを申し込むことは可能である。

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