第36話 お買い物


 せっかくダイブしたので新宿まで出ることにした。


 ゲーム内マネーがあまりなかったので都営三田線で巣鴨まで出てから山手線に乗る。


 ゲーム内マネーはアバターなどを買えるゴールドという貨幣と単純にゲーム内だけで流通するメムという貨幣がある。


 ゴールドは現実の貨幣に換金できることができるので掲示板取引などでログが残る場合を除いてプレイヤー同士のやり取りはできなくなっている。


 メムは換金できない代わりにプレイヤー同士でもやり取りできてバザーなどで売られている物も買えたりする。


 ゴールドをメムに換金することはできるが逆にメムをゴールドにすることはできない。


 新宿は公式ショップも多いしプレイヤーの開いているバザーの数も多い。


 山手線を降りて新宿駅東口の方に出るとすごい数のバザーだった。歩くのが困難なほどバザーが展開されている。


 バザーはプレイヤーがログアウトしていてもペアの彼氏or彼女が勝手に販売してくれる。


 バザーは相場よりも高く売りつけられる場合もあるが他では入手できない掘り出し物もある。


 公式ショップから見ようと思ったがバザーから見て廻る。


 ハクのアバターにばかりお金をかけていたので自分のアバターがまだ秋ものだった、まずはそれから解決したい。



 隣を歩くハクはこの前買った千鳥格子ちどりこうしのコートを着てくれている。


 バザーはシーズン遅れの秋物に安いものが目立った。


 所持メムを確認すると58000


 所持ゴールドは15000


 公式ショップの場合はメムで買えるものとゴールドで買えるもののどちらも置いてある。


 できればメムで冬物を入手したかったがメムで買おうとするとバザーでも公式ショップでも60000メムを越えるような物が多い。


 バザーの人はお財布の中身まで分かっているのかな?なんとなくうるはそうは思った。



 ゴールドをメムに換金すれば1ゴールド100メムで交換が可能だ。


 その換金はせずにうるはは公式ショップに行く。


 新宿駅東口からすぐ近くにある公式ショップには女性もののアバターが並んでいる。


 たくさんのアウターアイテムの中から白のファーコートを選ぶ。


 「どうかな?」


 ”似合っているよ、うらら”ゲームダイブ中は名前を「うらら」とちゃんと言い換えてくれている。


 「ちょっと大人っぽくない?」


 ”うららは童顔だからそれくらいでいいと思うけど”


 「そっか、そだよね」


 900ゴールドの会計を済ませる。


 アバターアイテムはすぐに装着可能なのでそれまでの秋ジャケットから白のファーコートに着替える。


 ”ほんとにかわいいよ!うらら”


 「ほんとー?」顔を赤くして照れた。

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