第35話 ダイブ


 夕食が終わるとうるはは部屋に戻った。


 今日は陸翔は大人しく自分の部屋に戻ったようだ。



 部屋に1人になるとまずは涼葉にチャットを送る。


 ”山本亀黄さんって人知ってる?”うるは


 ”え?うるはの家の近くに住んでいるあの人?”涼葉


 涼葉からはすぐにチャットが返ってくる。


 ”どんな人か分かる?”うるは


 ”たしか有名な大学に行ってたけど退学しちゃってそのあと何十年もニートしてるんじゃなかったかなあ”涼葉


 ”そうなのかあ”うるは


 ”何かされたの?”涼葉


 ”うーん・・ちょっとね”うるは


 ”気を付けてね?大丈夫なの?”涼葉


 ”うん!大丈夫だよ涼葉”うるは


 ”いつでも相談してよね!うるはのためならいくらでも頑張るから”涼葉


 ”うん、ありがとう、お兄ちゃんの時もさ、本当にありがとうね”うるは


 ”いつか義兄になるかもしれないし!”涼葉


 ”そっか・・・ありがと”うるは



 「ハクの方は何か情報あった?」


 ”うーん、特にこれといった情報は、通っていた大学が分かったくらいかな”


 ハクが若いころの山本の写真を見せてくれたが若いころはイケメン風な顔だった。



 山本のことをさらに調べるために「TRUE LOVE 3」の世界にダイブする。



 TRUE LOVE 3の世界はプレイヤーもアバターを着ることによってゲームキャラクターと架空の街をデートすることができる。


 ゲーム内マップはリアル世界とリンクしていて日本の街が忠実に再現されている。


 東京都北区滝野川のうるはの家もゲーム内にあってそこがうるはのスタート地点になる。


 うるははゲーム内では「うらら」という名前を使っていた。


 アバターが黒髪で長髪の女の子なのは現実世界と同じである。


 気になってすぐそばにある山本の家の方へ歩いてみる。


 ゲームをプレイしている人がいない家はグレーに表示されるが山本の家はプレイヤーがいることを示す表示があった。



 プレイヤー情報はオープンにして他のプレイヤーが閲覧えつらんできるようにするか、クローズにして見れないようにするか選べる。


 山本の家の情報はオープンになっていた。


 プレイヤー名が「雷鳴帝らいめいてい」恋人の名前が「うるは」


 プレイヤーのアバターは20代の男性のような雰囲気だ。そして、その恋人のうるはのアバターは半年前にうるはが着ていた服装そのままでブランドまで同じものだった。12月なのに半袖Tシャツとミニスカートだ。


 このゲームはプレイヤーの年齢によっては18禁なこともできる仕組みになっている。


 うるはは少し気持ち悪くなったが、ゲームで禁止されていることをしているわけではない。


 プレイヤー情報などを見るためにはゲーム内で接近しなくてはいけなかったため山本の家の近くまで来たが、すぐに離れたかった。



 この世界は移動手段が豊富でありバスや電車などといった現実世界の乗り物の他に空飛ぶじゅうたんやワープゾーンなどまである。


 ただ、便利さに応じてゲーム内マネーもたくさんかかってしまうが。

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