第15話 お風呂場で・・・


 「お兄ちゃんのことはママやパパには言ったらだめ」うるははそう陸翔に口止めをした。


 19時30分頃に母親が帰ってきたがうるはは何も食べたくないと伝えて自室に閉じこもった。


 

 ゴーグルを着けるかちょっと悩んだがやっぱりハクとは話したかった。


 「ハク」


 ”何?”


 「ううん、何でもない」


 ”そう?”


 「私・・・何の力もなくてさ・・・」そのまま抱き枕を抱きしめて泣き出す。


 ”うるは”ハクの声はどこまでも優しかった。



 うるはは泣き崩れてそのままベッドで眠ってしまった。


 ベッドには兄の匂いが残っているような気もした。



 目が覚めた時はまだ真っ暗だった。


 時計機能を呼び出すと深夜の2時15分だった。


 今日は午前中からコンビニのバイトだ。


 ぼんやりとお金どうしようかと思う。


 銀行に預けておこうかな、そんな風に考えていた。



 お風呂に入っていないことを思い出して1階に降りる。


 陸翔は多分母親と一緒にお風呂に入ったのだろう。



 1人でお風呂に入るのは1週間ぶりのような気もする。


 広いお風呂を独占するのは気持ちいい。


 丁寧に髪を洗って、トリートメントもする。


 お風呂の鏡に写った自分の顔は涙で目がれていた。


 腕や体も丁寧に洗っていく。


 おへそからデリケートな場所まで洗い始めた時、ここで一斗とキスをしたことを思い出す。


 下半身が熱い。


 恐る恐るさわってみる。


 うるはの体がビクンと反応する。


 形の良い足が跳ね上がる。


 「お兄ちゃん」


 そう言いながらうるはの指が大切なところをなぞっていく。


 「あ・・ん、ん」


 ゴーグルをゲームオフモードで起動する。


 こうするとハクは出てこない。


 登録した一斗の情報を呼び出す。


 かっこいい


 大きくて


 筋肉質で


 悪いことをしてる


 そんな一斗の体を思い出す。


 ゴーグルに映し出される一斗を見ながらうるはの指がいやらしく動く。


 「一斗、お兄ちゃん」そこでビクンと大きな波が来て体から力が抜けた。

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