第22話 お鍋


 「おはよう」


 「おはようお姫様」来夢が声をかけてくれる。


 「何時?」


 「6時50分」


 「え???もうそんな時間??」


 「ああ」


 出窓から外を見ると真っ暗だ。



 部屋を見渡すが涼葉と夢奈の姿はない。


 来夢がゴーグルを着けてくれているようだ。


 「2人はキッチンでご飯作ってくれているよ」


 さらによく見るとお菓子の袋が開けられていたりエナジードリンクの空き缶なども転がっている。


 うるはが寝ている間も3人はモニタリングを続けてくれていたのだろう。


 自分が寝ている間にも協力してくれている3人にうるはは本当に感謝していた。



 ゴーグルを来夢から受け取ると装着する。


 ハクは相変わらずデフォルメされた姿で二次識別を頑張ってくれているらしい。


 その間に涼葉と夢奈がお揃いのエプロンを着けてキッチンから部屋に戻って来た。


 涼葉はカセットコンロを持ってきていて先に中央のテーブルに設置する。


 夢奈は両手に大きな鍋を持っており、どいてどいてーと言いながらカセットコンロの上ににそれを下ろす。



 鍋の中を見るとネギや白菜、シイタケなどの野菜類が入っておりまずはそれに火を通す。


 だしは市販の物を使っているらしかった。鳥だしのようだ。


 こういうのは寒いところで食べるからいいんだよな、などと言い来夢がエアコンを一度切る。


 部屋の中に4人いるのとカセットコンロの火でどうにかだんは取れている。


 野菜に火が通ったのを見計らって豚肉と鳥団子を鍋の中に入れる。


 涼葉と夢奈がそれぞれ分担して手際よく鍋を仕上げてくれる。


 肉に火が通ったことろで完成だ。



 夢奈が鍋を取り分ける。


 まずは来夢の取り皿に入れてあげる。


 次にうるは、涼葉、そして最後は夢奈が自分の取り皿に盛った。


 『いただきまーす』4人の声がはもって鍋を食べる。


 いつの間にかお泊り会のような雰囲気になっているが食事の間もうるははゴーグルを外さない。


 はふはふ言いながら鍋を食べ、最後は雑炊にしてみんな食べ終わった。


 お腹が苦しいなどと言いながら膨れた腹をさする。




 その時


 ハクが初めて赤信号【標的発見】とうるはのゴーグルにサインを送った。

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