第69話 決戦前夜


 夜7時丁度に涼葉の家を出る。


 途中山本の家の方を望遠モードで見ると山本が鼻にティッシュを詰めていた。


 昼にいたずらしたので鼻血でも出したのかもしれない。



 数分で家に着く。


 陸翔はいつものようにリビングでゲームをしている。


 いいところなのかうるはが「ただいまー」と声をかけても反応が薄い。


 それでも母親が帰ってくるまでにお風呂を済ませておかないとうるさいと思って陸翔を促してお風呂に向かう。



 昨日とは違い、何のためらいもなく私服をどんどんと脱いでいく。


 それでも部屋着の陸翔の方が速く脱ぎ終わって素っ裸になって先にお風呂場へ入っていった。


 (見慣れているとはいえもう少し意識してくれないのかな?)裸になりながらうるははそんなことを考えていた。


 さっきまで涼葉にいたずらされていた女の子の部分が湿っていて陸翔は気にしていないのだろうが恥ずかしい。


 うるはは真っ先に体にシャワーを浴びた。


 いつも髪の毛から洗うのにとは陸翔は思ってはいないようだった。



 お風呂を出ると母親が帰ってきていた。


 「明日は買い物に行きたいけどうるはは一緒に行ける?」料理を作りながら聞いてくる。


 「明日は予定があるんだ、大切な」


 「そうなんだ・・・まあいいわ」


 今日はビーフシチューらしい。うるははそんなに好きではないが陸翔は喜んでいた。



 食事を終えると部屋に戻る。


 明日は決戦だ。


 一斗からは午前中に来てくれればいいとチャットが着ている。


 お互いに抜け駆けしないように夢奈とは飯田橋に10時待ち合わせとなっている。


 夢奈も一緒だからそういう状況にはならないと思うが下着選びは慎重になる。


 クローゼットの下段にある下着スペースの中から明日着けていく下着を選ぶ。


 大人しすぎず、派手過ぎず、それでいて一斗が喜んでくれそうなもの・・・。


 それだけで30分くらい悩んだだろうか。


 結局クリーム色をベースに青い縁取りの入った上下に落ち着く。ブラとショーツの中央はリボン柄になっているお気に入りのやつだ。試着しようとしたが変な気持ちになりそうだったのでやめた。



 そうそう、と机の奥から一斗からもらったイヤリングを取り出す。


 両耳につけて鏡に向かう。


 なにかイヤリングをしているだけで少し大人になれるような気がする。


 魔法でもかかっているのかな?そんな風に考えていた。



 服選びはハクにも手伝ってもらう。


 部屋中服だらけにして考えた結果、ボトムスは赤と黒のチェックのミニスカートに黒のロングブーツ、トップスは体の線が出る白のニットのセーターに大きなボタンが6個ついてるクリーム色のダッフルコートになった。


 “今回も100点だようるは”


 「もう、ハクはいつも満点だからあてになるのかしら」


 “きちんと採点してるよ”


 「いつもありがとう、ハク」


 ヴァーチャルなキスをする。


 ちょうど日付が変わる頃になってしまったのでチャットを確認するがこれといったものはない。



 そのままヒーリングミュージックと夜のたき火を再生してもらうとうるははぐっすり眠りについた。

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