第78話 3者通話


 12月22日月曜日



 この日は朝から冷たい雨が降っていた。


 陸翔の部屋のアラームが鳴っている。




 もう朝か、うるはは眠たい目をこすってベッドから降りる。


 “おはよう!お兄ちゃん今日から仕事だよね?頑張って!!応援してる♡”うるは


 とりあえずチャットを打ち込んでおいた。



 洗面台に行くと陸翔とはちあわせになる。


 「おはよ」


 「おはよう」


 仲良く顔を洗い1階に下りる。



 和樹はもう出社してるようだ。こずえが朝ごはんを作ってくれている。


 今朝はツナサンドとトマトサラダだった。


 ゆっくり食べているとこずえがお昼は買って食べてねとスーパーのカードを置いて家を出ていった。


 うるはは陸翔と仲良くツナサンドを食べる。食べ終ると陸翔はバッグを持って家を出る。



 髙梨家にはうるはだけになった。


 チャットを確認すると一斗からありがとうと返信が着ていた。



 誰か暇してる人いないかとチャットを見ていると“うるは暇?”結愛 とチャットが飛んできた。


 “暇だよー”うるは


 “通話かけてもいい?夢奈と3者通話で!”結愛


 “どうぞ!つなげてください!”うるは


 すぐに着信メッセージが表示され通話に参加する。



 「おはよー」


 「おはようるは」


 「おはおは」


 「何時から話してたの?」


 「うちと夢奈は今通話始まったばかりだよ」


 「そうなんだ」


 「聞いてようるは!」


 「ん?結愛?」


 「乱児にさクリスマスイブ遊びに行こうって誘われちゃった」


 「えーいいじゃん?結愛は気に入ってたんでしょ?」


 「でもさ、ルーカスからも誘われていて」


 「んー、どっちかに決めるべきじゃないの?」


 「コーチとも別れきれなくて」


 「結愛ー?」


 「私もさっき聞いたんだけどこのままだと3股だよね」


 「うちはそんなつもりはないのだけど・・・」


 「どうするの?結愛」


 「開き直って3人と付き合っちゃおうかな」


 「うん!もう結愛はそれでいいよ!」うるはがあきれて突き放す。


 「コーチはさ大人だから・・割り切るというか、そのエッチが上手なんだよね」


 「そういうの分かんない、私したことないから、結愛って何人くらいとしたことあるの?」うるはが興味深々きょうみしんしんと言った具合で聞いてくる。


 「うちは、中学3年の時の彼氏と高校入ってからフレがいて、コーチが3人目かな」


 「結愛ってサッカーだけじゃなくってそっち方面もエースだよね」夢奈が少しため息まじりにほめる。


 「うちディスられてる?」


 「んーん、すごいなって思うよ!初めての時やっぱり痛かった?」うるはは目がきらきらしている。


 「そうねえ、うち身長小さいし多分あそこも大きくないから初めての彼氏の時は痛かったかなあ」


 「やっぱり痛いんだ・・」


 「夢奈は経験あるの?」


 「あると思う?」


 「え?まさか禁断の?」


 「ん-それかあ」


 「こらこら、夢奈」


 「なんて来夢とはキスまでしかしてないよ、安心してねうるは」


 「いや、まあ・・」


 「かっこいいお兄さんや弟がいるのは羨ましいなあ、うちは1人っ子だから」


 「かっこいいお兄さんか、あ、今日から神無月君のところにお兄ちゃんがお世話になります、よろしくお願いします」


 「それはこちらこそだよ、来夢もだいぶ喜んでいたから」


 3人の通話は4時間ほど続いて終わったのは12時30分を回っていた。

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