第3話 バスの中で・・・
家を出て7時25分のバスに乗ろうとするとハクから一本遅らせた方がいいと忠告がはいる。
「なんで?」
”急病人が出た影響でバスが少し遅れています、いつものバスに乗るとかなり混んでるよ”
「でも、これに乗らないとホームルームがぎりぎりになっちゃう」
そう言ってハクの忠告を振り切ってバスに乗る。
失敗した。
ぎゅうぎゅう詰めの車内でうるはは思った。
通勤のサラリーマンの腕がうるはのあちこちに当たっている。
おしりに当たっている手はわざとなでるように動いていて気持ちが悪い。
それでも満員のバスで身動きできずにいるとゴーグルに友人からチャットが表示される。
返信は両手に持っているペンタイプのジョイスティックで行う。
左手のジョイスティックを操作することで文字や数字などの切り替えを行い右手のジョイスティックで選択決定する。
チャットには今日のホームルームはなく、1限目から出席で良いと書かれていた。
”ハク~”チャットでハクに泣きつく。
”だから言ったのに!”
”だって・・・”
”うるはは僕の大切なお姫様だから、言うことを聞いてね”
”うん”
停留所で止まっても乗る人は多いが降りる人はいない、どんどんと人が密集していく。
うるはのおしりを触っていた男性の手がおしりから前の方にも伸びてくる。
うるははそこは触られたくないのでぎゅっとバックで防御する。
しばらく攻防があったが、その手はあきらめておしりだけをねっとりと触る。
最初は気持ち悪かったのだがうるははいつの間にか気持ち良くなってしまっていた。
触っているのは30代くらいのサラリーマンだろうか、眼鏡をかけていて神経質そうだ。
明らかに意図的に触っているはずなのに顔は冷静で悪いことをしている素振りも見せない。
うるはの綺麗な顔が快楽で少しゆがむ。
透明な肌に赤みが差す。
耳まで真っ赤になって耐えているとゴーグルの外部スピーカーから”やめろ!”と声がする。
サラリーマンはびっくりして手を止める。
そのままバスの奥に消えていったようである。
高校の前の停留所でうるははバスを降りる。
「ハクありがとう」
”僕が実体化できたらぶん殴るんだけどなあ”
「十分頼りになるよ、ハク」
”ああ、うるは”
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