第25話 再会
深夜1時の池袋
終電も終わり駅前は
うるはと来夢は駅前からホストクラブの密集している場所まで移動する。
時間的に客引きなどはいないがチンピラ風の男や水商売系の女性などが周りを歩き場違いな2人に視線を送る。
コンビニで買ったカイロを2人の手で包むように手をつなぐ。
それでもうるはの体は小刻みに震えていた。
「高梨、大丈夫?」
「うん・・・」
寒い
12月の深夜の東京
少し強い風が吹くと本当に色々と持っていかれそうなほど寒い。
それでも一斗がすぐそばにいる。
それだけがうるはの頑張れる理由だった。
2時くらいになるとお店からスタッフらしき人が出てき始めた。
2人はそちらのほうを
そのうちに、
いた。
一斗だ。
足を少し引きずっている。
同僚と一緒なのだろうか2人で駅とは反対方向に歩いていく。
「お兄ちゃん!」うるはは何も考えずに一斗の方に走っていた。
一斗が驚いたようにうるはの方を向く。
「うるは・・・?」
一斗の隣にいた同僚は足を止めて2人を見ている。
「一緒に帰ろう」
「何言ってるんだ?」
「帰ろうよお兄ちゃん」うるはが一斗の肩を持ってしがみつく。
パン
大きな音がしてうるはの頬に一斗の平手打ちが当たる。
ゴーグルまで少し先に飛んだ。
「行こうぜ」待っていた同僚に声をかける。
「待ってください」来夢が一斗の肩を捕まえる。
「なんだ?お前」
振り向きざま一斗の
来夢は一瞬息ができない。
「高梨・・さんは、うるはちゃんはお兄さんを心配して、今日もずっと寒さに耐えて待ってたんですよ、話だけでも聞いてください」
少し考えた風だったが同僚に先に行っていて良いと告げてそこに立ち止まる。
「ちょっと2人ついて来い」
一斗は振り返りもせずに前を歩く。
ゴーグルを拾ったうるはとお腹を抑えながら来夢も後に続く。
トキワ通りまで出るとタクシーを拾う。
奥から一斗、うるは、来夢の順番で後部座席に座る。
タクシーの中では無言だ。
話しずらい雰囲気を一斗が放っていた。
深夜の東京を緑色のタクシーがほとんど止まることなく走る。
一斗は飯田橋駅方面と運転手に告げていた。
うるはは両手のコントローラーで現在地と飯田橋を地図で検索する。
一斗と会えたことは涼葉と夢奈にチャットで送った。
2人からすぐに”よかったね”と返事があった。
画像解析モードは終了しておりハクもいつも通りの姿に戻っている。
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