第47話 山本接近
数分でバイト先のコンビニに着く。
今日気付いたがコンビニは山本の家から丸見えの場所にあった。
レジも手前のレジに立っていたら視界に入ってしまう。
出勤の時にそんなことを考えながら奥の更衣室に入る。
蛍光色の入った明るい上着を着て売り場に出ると夜勤の人と交代する。
大学生男子二人組だ。
いつもうるはに何か声をかけようとして恥ずかしがってできないのがかわいらしい。
今日もペアはいつものおばちゃんだ。
「うるはちゃんよろしくね」
「よろしくお願いします」
そう挨拶をしてレジに立つ。
おばさんに頼んで今日はなるべく奥のレジに立たせてもらうようにした。
それでも動きを監視されているような気持ち悪さを感じる。
朝はそれなりに忙しく山本のことや時間のことも忘れていた。
レジ待ちが切れたタイミングで品出しなどを行う。
品出しも缶飲料系はロボットでやってくれるのだがお客さんが立ち入れるスペースに
「15分ずつ休憩しよう」暇なのを
土曜日なのでもう少しお客さんが来てもいいはずなのに。
そんなことを思いながらレジに戻りタバコの補充などを行う。
その時に入ってきた。
ジャージ姿
ぶよぶよとだらしなく太った体
歩いているだけなのに汗をかいて息がはあはあしている。
うるはは視界には入っているがタバコの補充に気を取られているようなふりをしている。
山本はゴーグルを着けている。おそらく録画モードなのだろう。
うるははおしりのあたりに視線を感じてかなり気持ち悪い。
スナック菓子とアイスをかごいっぱいにして会計に来る。
また避妊用のコンドームがかごの中に入っている。
「た、高梨さ、さん」
「はい?」
「う、うるは、さん、ちゅうしてた・・いち、いちとおにいさんと」
・・・え、見られてた、それにお兄ちゃんのことも知ってる?
うるはは何も答えずに品物をレジに通す。
山本はクオカードを取り出す。
うるはが受け取るとねとねとした手でうるはの手を触ってくる。
鳥肌がぞわぞわとするが営業スマイルは崩さない。
手が触れているだけで山本は興奮しているのだろうか異常な息遣いになっている。
「う、うるはさん、い、いちとおにいさんとせ、せっくすしたの?」
「個人的なことにはお答えできません」顔を真っ赤にしてうるはは下を向いている。
なおも山本は何か言おうとしていたが休憩からおばちゃんが戻ってきたのを見るとレジ袋を抱えて出ていった。
「うるはちゃん大丈夫?山本さんの家の人でしょ?彼」
「は、はい」ようやくそれだけ伝えられた。
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