第64話 12月18日


 家に着くと怒られるかと思ったが涼葉がフォローしてくれていたようで母親は「あまり遅くならないでね」と言うだけであった。



 お風呂に入ってから部屋に戻る。


 部屋に戻ると、あ!と思ってうるはは、山ちゃんにお礼として以前ゲーム内で着ていた制服アバターをプレゼントした。


 山ちゃんはがちで涙を流しながら喜んでいるようだった。



 涼葉には今日のお礼とお見合いの件を通話で話してみた。


 「うーん、一斗さんと夢奈ちゃんのカップリングかあ」


 「ちょっと涼葉、なにか妄想してない?」


 「いやあ妄想というか・・どっちが受けでどっちが攻めなのかなと」


 「なにを言っているのかな・・涼葉ちゃん」言葉に怒気どきがこもっている。


 「ああ・・ごめん、よだれが」


 「よだれじゃなくって」


 「そうだなあ、あの2人はねどっちも兄と姉でしょ、うまくいくところと反発するところ両方あるかも?」


 「そうなのかな?」


 「予想つかないわあ」


 「涼葉で分かんなかったら私は全然だめだ」


 「うるはにはいつでも私がいるからね」


 「はーい、ありがとう、涼葉」




 「ハク、いつもいつもありがとうね」


 “ううん、僕はそれが役割だから”



 時計を見ると日付が変わるところだった。


 ヒーリングミュージックと冬の星空を映してもらいながらうるはは眠りに落ちた。



 12月18日木曜日


 朝6時には目覚ましが鳴る。今日は登校日だ。


 寝間着を脱いで上下下着姿のまま準備していると陸翔が入ってきた。


 「おはよう、おねーちゃん」


 「おはよう、陸翔」そう言いながら髪の毛をとかしている。


 陸翔はうるはの下着姿を目にたっぷりと焼き付けている。


 「なーに?陸翔、やらしいぞ」


 「んーん」


 クッションを投げつける。


 胸でキャッチするとうるはに投げ返す。



 制服に着替えると陸翔を連れて1階に下りる。


 父親はもう出勤しているらしく母親が朝ごはんを作っていてくれた。


 ケチャップのたっぷりかかったソーセージと卵焼き、それにコーンスープだった。


 コーンスープはたしか一斗が出してくれたな、などと思いながら朝食を終わらせる。



 家から出ると山本がこちらを見ていた。


 実は昨夜の件があったので変な人がいないか見張ってくれるとのことだ。何かあればすぐに連絡をしてくれる。


 山ちゃんに頼りすぎるのも良くないように思えたが、既に何回か命を救われているので頑張ってもらうことにした。



 バスに乗って赤羽にある高校に着く。


 ホームルームまではまだ10分くらい時間があるようだ。

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