第83話 クリスマスイブ


 12月24日水曜日 クリスマスイブ


 陸翔は学校に行くために朝から起きていたようだがうるはは熟睡していた。


 午前10時にアラームが鳴る。


 “おはよう、うるはクリスマスイブだよ”


 「あ、おはようハク」


 2時に渋谷なら1時に出れば間に合うだろう。


 のんびりと洗面台へ行って顔を洗う。


 「私ってかわいいのかな?」


 鏡に映った自分の顔を眺めてみる。


 笑顔


 泣き顔


 憂鬱ゆううつそうな顔


 怒った顔


 真剣な顔


 ジト目


 色々な表情をしてみる。


 「やっぱり分かんない」



 1階に下りるとコーンフレークが置いてありこれを食べなさいとのことだ。


 それとクリスマスに遊ぶお金ということで5000円札が置かれている。津田梅子の肖像画だ。


 うるはは手を合わせてそれを受け取る。


 コーンフレークをお皿に盛って冷えた牛乳を上からかける。


 バナナも置いてあった。


 なんだか健康に良さそうな朝食だなと思いながら完食した。



 食事を終えると服選びだ。


 クローゼットを開けて中をのぞき込む。


 うるははクリスマスに着ていく服は決めていた。


 白いロングのプリーツスカートに首まである白ニットのセーター、それに白のウールのロングコートだ。


 白ずくめの恰好だがバックが茶色系なのでアクセントになっておりかなりセンスの良いコーディネートだ。


 靴は茶系のロングブーツを履くことにした。



 問題はここからか・・・


 下着をどうするか迷っていた。


 家には今誰もいないし、と一度着ている物を全て脱ぐ。


 うるはは生まれたばかりの姿になって鏡の前に立つ。


 「私の裸見たらお兄ちゃんとか神無月君どうなんだろう・・・でも、2人とも見てるのか・・・」


 そんなことを思い出すと体の奥が熱くなってくる。


 もしお兄ちゃんと神無月君に同時に見られたらどうなるんだろ?


 考えるだけで胸の先が立ち上がってくる。


 「ね、神無月君・・なめて、ここ」ピンク色のさきっちょをつまんでみる。


 電撃が走るような快感。


 「今、ここでお兄ちゃんが、後ろからしてくれたら・・死んじゃうかも・・・神無月君に見られながらお兄ちゃんと繋がっちゃったら・・・」


 うるはは立っていられなくなり崩れ落ちる。


 全裸のままカーペットの上で少し痙攣けいれんしていた。



 20分くらいで立ち直ったうるはは下着選びを再開する。


 試着したいがショーツが汚れるかも?などと考えていた。


 色々と勝負下着を吟味ぎんみした結果黒の上下で赤いリボンの付いている物に決まった。



 裸のまま1階まで下りてお風呂に入る。


 こんな姿山ちゃんが見たらどうなるのかな?


 ちょっといたずらしたくなってお風呂に入ったまま山ちゃんにビデオ通話をかけてみる。


 ちゃんと大事なところが映らないか実験しておいた。


 「メリークリスマス!山ちゃん」


 「め、メリーくりすます、う、う、うるはさ・・ん????えgwぐいqげふbくぇうおbvかd。h;」


 肩から上だけしか見えないうるはの裸を見て山ちゃんは倒れてしまった。


 「や・・山ちゃん!?」


 「い・・いま、し、しんだら、て、てんご・・く」


 「ごめんなさい、ありがと」



 びっくりしたうるははそう言ってビデオ通話を終わらせた。

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