第43話 プレゼント
部屋に着くと一斗がクローゼットに上着をかける。
シャツの上からでも一斗の筋肉質な体が分かりドキドキする。
この体と一晩同じベッドで寝てたんだ・・・
「うるはもコートこれにかけろよ」そう言ってハンガーを渡してくれる。
ロングコートをハンガーにかけてクローゼットに吊るす。
うるははリビングに行くと持っていた手さげ袋を渡す。
「ん?なんだ?」
袋を取り出すときれいにラッピングがされている。
「開けていいのか?」
「うん」
一斗がラッピングをほどくとヨーロッパ製のワイシャツとネクタイが入っていた。
少しそれらを眺めた後
「これ高いだろ?うるは」
「お兄ちゃんにもらったお金があったから・・・」
「ばか・・こんなことに使わなくていいのに」
「気に入らなかった?」
「そんなわけないだろ、ありがとう」そう言うと一斗はうるはの頭をポンポンとなでる。
「ちょっと気が早いけど就職祝いだよ、お兄ちゃん」
「ああ、頑張るよ、ありがとう、それと・・・」
そう言って部屋の奥からラッピングされた箱を持ってきた。
「はい、お嬢様」
「え?私がもらうようなことはないよ?」
「うるはの誕生日は10月4日だったっけ?遅れたけどそれだ、今回のお礼もあるし」
「ありがとう・・・」中身を見なくても半分泣きそうになっていた。
「まあ、開けてくれ」
「うん・・・」そう言って開けるとブランドもののイヤリングだった。
「どうだ?」
「ありがとう」一斗になにかもらうなんてことは考えていなかったのであまりの嬉しさに涙が止まらなくなってしまった。
「泣き虫だな、うるはは」そう言って頭をぎゅっとしてくれる。
身長が183センチある一斗
何もかもとろけてしまうような優しい
しばらく抱きしめあっていた2人だが
「せっかくだからつけてみろよ」と一斗が沈黙を破った。
「うん」鏡の前に行きイヤリングを両耳に着けてみる。
今日の少し大人っぽい服装にはぴったりだった。
「どう?似合うかな?お兄ちゃん」
「うんうん!すごい似合ってるぞ」
「惚れちゃった?」
「ああ、惚れた惚れた」
「お兄ちゃんもシャツ着て見たら?」
「ああ、そうだな」袋から取り出す。
一斗は着ているシャツを脱ぐ。上半身裸になると腹筋や腕の筋肉がすごい。
うるはは思わず見とれる。
ワイシャツは一斗にぴったりだった。ゴーグルの3Dモニタリング機能で一斗のサイズに合わせたつもりだったが実際に着てもらうまでは不安だった。
「ぴったしじゃん!ありがと」そう言って一斗はうるはの頭をうりうりとなでる。
「くすぐったいよ」うるはは子犬のように喜んでいる。
「ちょっとご飯作るから座ってろよ」
「え?お兄ちゃんが作ってくれるの?」
「あー簡単なものしか作れないけどな」
「わあ・・うれしいな」
「高いもの取る時だけ痛いけどな」
「あ、そうだよ!お兄ちゃんけがは大丈夫なの?」
「問題ない、足も引きずってないだろ?」
「そう言えばそうだけど」
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