第31話 ヴァーチャルなキス


 1階へ降りて母と陸翔とうるはの3人で食事をする。


 今日は肉じゃががメインのようだ。


 ゴーグルでカロリーを計測してから食事を始める。


 母は食事の時もうるはが2日外泊したことを注意するがそれも嫌味なほどではなかった。



 食事が終わると陸翔と一緒にお風呂に入る。


 陸翔はいつも以上に甘えた感じでくっついてくる。よほど2日いなかったのがさみしかったのだろう。


 陸翔の頭をぽんぽんと叩いてあげる。


 陸翔はうるはの胸に顔をうずめて甘える。


 「や、ばか・・あまりそこはだめだからね」うるはの制止もそれほど強い口調ではない。


 陸翔はうるはのどこが気持ちいいのかなどは分からないのだろう無邪気にくっついてくる。


 それがうるはに予想外の刺激を与える。


 


 お風呂から出ても陸翔はうるはの部屋に勉強道具をもって侵入してくる。


 今日は仕方ないかとうるはも陸翔の勉強を見てあげる。


 陸翔のドリルを見たが5年生の算数はそれなりに難しかった。


 それでも分からないところを丁寧に解説してあげる。


 

 ドリルが終わると「今日はおねーちゃんと一緒に寝る」と言ってうるはのベッドにもぐり込む。


 うるはからしたらなにか子犬になつかれているようなくすぐったい感覚だ。


 しょうがないなあと言いながら一緒にベッドに入る。



 陸翔は10分くらいするとすぐに眠ってしまった。


 うるははゴーグルをのぞき込む。


 ハクが今日あったニュースなどを解説してくれている。


 ニュースは5分くらいで把握できるように短く編集してくれている。


 これといって気になったものはなかった。


 さきほど保留していた涼葉と夢奈、結愛にチャットを返す。


 ”涼葉、今回の件では本当にありがとう、改めて涼葉が天才だって分かったよ一生恩は忘れないからね”うるは


 ”夢奈おはよう!がっつり寝ちゃった”うるは


 ”ごめん、結愛。結愛は毎日頑張っているから邪魔しちゃいけないかなとか思っちゃって、今度からはちゃんと相談するね”うるは


 そしてハクだ。


 「ねえ、ハク」


 ”なに?”


 「今回は本当にありがとう、ハクがいなかったらお兄ちゃんを探し出すこともできなかったよ」


 ”そんな・・・僕は、ただ与えられたタスクをこなしただけだよ”


 「ううん、すごい頑張ってたよね・・・ほんと」


 ”そうかな?うるはの役に立てることが僕の一番のごほうびだよ”


 「ありがと、キスして」


 ”ああ”


 うるはとハクはヴァーチャルなキスをする。

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