2話:気がつくと


「……夢見心地が悪すぎるだろ」


 久々に悪夢にうなされていた。またあの時の夢だった。

 今日もまた多忙な1日を送らないといけないのに、陰鬱な気分でギルドに行かないといけないのは最悪としか言いようがないな……。


「はぁ、とりあえずホテルのチェックアウトしねぇと」


 ここの宿のルールで長期滞在と事前の予約とかが出来ない。とりあえず今日もまた夕方にその日暮らしの宿を探さないといけない。

 もう何度も繰り返してきたことだ。慣れたし、最初は嫌気とかさしていたけど、今は野宿よりマシだと思っているからどうでも良くなった。


「そろそろ自分の住むアパートが欲しい気もするな……」


 ハンター専用の寄宿舎があるのは知っている。1度だけギルドの加入説明会で紹介を受けた事があった。だがその後に聞かされた話を受けて、俺はホテル暮らしの毎日を続けている。


『初心者ハンターが住むように定められている場所はスラム街から近い場所になります。それでも良ければ申請してくださいね。三食シャワー付の家賃110ダラーの良い場所です! あっ、でも治安が良くないのでそこは覚悟しておいてくださいね☆』


 まぁ、そのおかげで稼ぎのほとんどが宿泊代に吹っ飛んでいるんだけど。変な事件とかに巻き込まれるよりはいいかと思って割り切っている。


「……今日は何しよう」


 今日はギルドの定休日。要するにハンターの稼業が全体を通して休業している。かといって怠惰にくつろげる様な場所のあてもない。


「……日雇いのバイトでも探そうか」


 俺の人生なかなかのベリーハード。できたら今日は200ダラーを稼げる仕事がしたい気分だ。


「現場作業しかないかな……」


 外の気温は現在37度。近辺に火山地帯があるためにこの街では基本的に気温が高い。最初は熱中症とかが心配だったけど。日を追う事に不思議とそんな事はなく、むしろ普通に暮らせている。これも異世界転生による特典なのだろうか? でも周りの住人の人達は口を揃えて45度までなら平気って言うし……。だめだ。知らない事ばかり多すぎて考えの整理がつかないな。


「まぁ、仕事探す時間までまだ余裕があるし。とりあえず茶店でもいこうかな」


 とりあえず手持ちの残金を確認しよう。えと、


「手持ちのお金は……ひぃふぅみぃ……24ダラーか……」


 日本円に直すと2400円だ。うーん節約しないと晩飯を買う金がなくなるな。この街の物価は基本高めに設定されている、無計画な買い物は禁物だな。飲料水1リットル入りのポーションを買うのに25ダラーするんだから無理はしない方がいいな。


「考えても仕方が無いし。腹減って思考が働かないと禄に仕事ができないな。うん、行こう」


 独り言を呟きながら行き先を決めてた俺は、そのままホテルを後にした。

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