63話:闇の裏闘技大会1
『おぉまたせいたしましたぁ!!!!!! アルデリア裏闘技大会これより開幕とさせていただきますぅうううううううう!!!!』
――イェエアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!
「すごい熱気ですね……」
「そうよねぇ。汗臭い外野の男達は嫌いじゃないけど。今回に限っては嫌いだわ」
「まぁ、ルナ姉のお眼鏡にかなう男はそうそういないさ」
「もう、馬鹿にしてロッソちゃんったら」
「あははっ、とりあえず司会のアナウンスを聞きながらいつでも出れるように準備しておきましょう先輩達」
そう隣に並んで待合室のベンチに座っている先輩達と話しながら銃の最終確認をしていく。残念だけどお古の銃で頑張るしかない。そして今から相手するモンスターが、
『こぉんかいのぉデモンストレーションといたしましてぇ。古今東西の選りすぐりの中からよりをかけて最強の魔獣を――』
「はん、最強の魔獣ね。たいしたジョークだな」
「えっ、ロッソ先輩はあのモンスターを弱いと思っていらっしゃるのですか?」
「とうの昔に何度も拳で語り合ったからな」
「こっ、こぶしぃっ!?」
「そうよーサトナカちゃん。このロッソちゃんはね。今から戦うモンスターとは旧知の仲みたいな間柄なのよー」
「いままで何体のゴルドデュエルベアを狩ってきたのですか……?」
「そうだなぁ……ざっと30体か」
「うあぁ……」
もう正直ドン引きレベルだ。しかも銃を使わずに素手で倒してしまうだなんて……。もうこのひとだけで充分じゃないかな?
「あっそうそう新人。今回俺は不参加だからそこんところよろしくな。最低限のアドバイスはできるから頼んだぞ」
「えっ……えぇえええ!?」
「まぁ、そう驚くなよ」
「そうよサトナカちゃん。ロッソちゃんは別件の用があるから席を外すだけよ」
「ルナ先輩はどうされるのです……?」
急にめっちゃくちゃ心細くなってきたぞ……。
「うふふ、大丈夫よ。そう心配そうな顔をしないでしょうだい。私も一緒に参加するから」
「ほっ……」
ストンと感情が落ち着いた。心強い先輩が隣で戦ってくれるのは嬉しい限りだ。
「ルナ姉はショットガン使いだから援護は重要になってくるぞ。気を引き締めて行ってこい」
『お待たせしました!! 間もなく試合開始です!!』
丁度試合開始の合図が闘技場内に響き渡った。そして。
「おいお前ら戦いの準備をしろ。案内してやるからついてこい」
屈強な男が部屋の扉を開けて声をかけてきた。一気に緊張感が増してくる。
「笑顔で帰って来いよ。俺はここでのんびり待ってやるから」
「はい! 頑張ってきます!!」
「若いって良いわね……! 嫌いじゃないわ!!」
俺とルナ先輩のタッグで繰り広げられる裏闘技場の試合が間もなく始まろうとしていた。相手は戦いを好むモンスターと聞いている。俺みたいなハンターがまともに相手できるのだろうか。
「ルナ先輩。足引っ張るかもしれませんが。全力で援護しますね」
「そう緊張しないの。前衛は私が張るんだから。あなたはしっかり相手の急所を狙い続けるのよ」
「わっ、わかりました……!」
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