62話:廃墟都市アルデリア
廃墟都市アルデリア。かつてここには多くの人達が行き交い、そして文明を発展させてきた歴史があった。
「だけどね。ここにはモンスターが地中深くに眠っていたの。200年も前からね」
「都市をまるごと破壊するモンスターってどんな奴だったんですかリリィ先輩」
「うーん。そうね。アルシェさんが言うにはそいつは要塞の巨龍というあだ名を持った超大型のモンスターですって」
「どうして今回この廃墟都市に訪れたのでしょう?」
「レフィアちゃんから聞いてないの? ここ、つい2年前くらいから犯罪者の王国になったのよ。それもヤバイ事をして私達に目をつけられたポリス組織が取り仕切っている場所なの。直接王城があればそのまま頭をバッサリで済むんだけど。アルデリアには城が跡形もない」
「そのなんとなく今まで話を聞いて言わせてもらうと。もしかしてその巨龍がなにか城と都市の壊滅に関係があるのですか……?」
「結論を急ぎすぎよ。そんな事だと女の子とロクに満足なセックスができないわよ」
「おっ、俺はそういうつもりで言った覚えはないんですが!?」
「うふふ、可愛い。そういう焦った顔を見ているとお姉さんもっとからかいたくなっちゃうわ」
「勘弁してくださいよ……。こっちはリリィ先輩と一緒にいるだけで寿命が縮むような思いをして神経すり減らしているんですから……」
「大丈夫よ。私はそうむやみに声で相手を刺激したりしないから。普通に接しかけて欲しいわ」
話が脱線してしまったが。とりあえず分った事は、この廃墟都市は要塞の巨龍という超大型のモンスターが200年の時の眠りから覚めた事で2年前に災害に遭いそのまま壊滅してしまったということ。運悪く第2王子の城が巨龍の中心部にあったためにそのまま背中に乗せられたまま何処へと消息を絶ってしまった。
今もそのモンスターと一緒に彷徨い続けているだろう。
「城にいた人達はどうしていらっしゃるのでしょう……」
「死んだんじゃないのぉ?」
「そんなサイコパスなこと言わないでくださいよ」
「でも碌な食料もないのに2年もそこに生きていられるわけはないわ。ここは普通に考えるべきなのよねー」
災害後から2年の間に犯罪者が居座る都市国家に変貌を遂げてしまった。そこに法律なんて言うモノはなく。一度足を踏み込んでしまったら最後。二度と戻って来れないと噂されている。そして一部の区画にはモンスターが住み着いているというなかなかなカオスな場所とかしている。
そして今のところ俺とリリィ先輩は廃墟都市内部の幾つかに点在しているアジトの1つに身を置いているところだ。とりあえずお互いに暇なので持ち込んだカードゲームで遊んでいるところだ。
「はい、これで君のモンスターに攻撃ね。お終い」
「うあっ、つよいっすねぇ……」
そりゃあ、異世界のカードゲームを熟知している相手だから仕方が無いか。カードゲーム『デュエルサモンライド』は、前の世界にあった有名なカードゲームに近くて違うという奥の深い遊び方が出来るゲームだ。意外と脳内もう1人の僕を演じて遊べたりするので楽しかったりする。
「これで何勝かなわ・た・し」
「うっ……全部で7連勝ですね」
「じゃあ、次は罰ゲームを追加しちゃおうかしら。この間の続きがしたいなぁ~」
いや普通に甘い声でねだられてもグッと心に突き刺さってくるな。
昨日の朝は目覚める前の悪夢を見ていたと思いたかったが、リリィ先輩の言葉で現実に引き戻されてしまった。
朝、目を覚ますと。
『うふふ、お・は・よ・う』
『…………――ッ!? ぎゃぁああああああああああああああああああ!?』
ほぼ全裸姿のリリィ先輩が俺と一緒に添い寝をしていた。自分の部屋なのに彼女がいたんだ……。彼女じゃないのにだ。しかも勝手に俺のワイシャツを着ているときた。
んで、その後に俺はインナー姿のままで部屋を飛び出してモンスター牧場に直行し避難をしたわけだ……。サンデーにバカにされ、ホワイエットに慰められ、サビに関しては無礼者とビンタされて散々だった。
その添い寝の続きの先を罰ゲームでしたいとリリィ先輩が言ってきている。これは絶対に勝たなくてはいけないな……!
「ふっ、そのデュエル受けて立つぜ……っ!!」
「やったー。君の持っているデッキ構成だと私にはとうてい勝てないから勝利もどうぜんね!」
あっ、やっぱ前言撤回。全力で逃げないといけない事になってしまうな。
――10分後。
「あーんもうなんで負けちゃったの私ぃ!」
「おっしゃああああああああ!!」
全力で勝利の雄叫びを上げる自分。奇跡的な逆転劇で勝利を勝ち取る事ができてしまった。これで罰ゲームは無しだ!
と、2人で遊んでいたら。
「おう、カードゲームで遊んでいる所すまないが」
「あっ、お疲れ様ですロッソ先輩!」
「おう、新人。2人とも仕事だ。リリィは派手な服に着替えろ。新人は狩りの準備だ」
「モンスターは何です?」
「豪気決闘獣・ゴルドデュエルベアだ。場所は闘技場になる」
「闘技場……」
「ああ、ポリスの幹部が取り仕切っている裏の闘技場でお前が相手するモンスターだ。気を引き締めてかかるんだ。勝てば俺達の作戦が大きく進展する大事な勝負だ。頑張れよ!」
まさかこんな所で俺の探し求めていたモンスターと戦う事になるとは……。しかも2つの意味で大事な戦いときた。負けるわけにはいかないな!
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