67話 勇往邁進
ボスは大斧を地面に叩き付け、大地を盛り上がらせ複合魔法から逃れていた。
──くらってくれれば楽できたのに……!
【アイスオーガ変異種Lv65】
・弱点 首
・特性 アイスオーガの変異種。通常のアイスオーガよりも戦闘力は高い。アイスオーガやアイスタイガーを従えている。スキル 飛燕により斧から斬撃の余波が発生するので要注意。スキル 背水の陣により、力が増加しているが防御力は減少している。
・スキル 怪力Lv6 威圧Lv5 重撃Lv5 背水の陣Lv3 飛燕Lv2
・スキルブックを所持しています。
目目連で特性やスキルを見ると、攻撃に全振りしているような印象を受ける。
ただでさえアイスオーガは攻撃力が高いというのに、それに加え変異種とスキル効果が3重になっている。
一撃の威力は言うまでもないだろう。
しかし、防御力が低いと言うのは響にとってはかなりありがたい話だ。
「スキルブック!? まじか……絶対倒す!」
おまけにスキルブックも所持しているとは、なんのスキルかは分からないが、役に立たないということはないだろう。
俄然やる気の出てきた響は、1段階加速し一気に距離を詰める。
変異種はまだ距離がある中、大きく斧を振ると目目連でみた通り青く発光する斬撃が放たれた。
「これが飛燕か!」
予め知っていなければ対処は難しかった。
響は変異種が斧を振った段階で予想していたため、大きく前宙してそれを回避。
着地したと同時に跳躍し、白光を突き立てるように構え全体重をそこに乗せる。
変異種は腕を振り抜いた直後。
斧による防御は難しい。
が、防御など微塵も考えていなかったのか、振り抜いた勢いを利用しそのまま旋回し裏拳を放つ。
「まじかッ」
裏拳は白光の腹に直撃、強烈な衝撃で吹っ飛ばされる。
響は器用に空中で回転し、大木を蹴りつけて再び突進。
「サンダーボルトッ」
右手で白光を振り下ろし、左手で雷撃を放つ。
変異種は斧で白光を弾き、首を狙った雷撃は少しそれて左肩に命中した。
「グラアアアアアッ」
悶え怒る変異種に対し、あろう事か響は背を向けて走り出した。
──殺るなら今しかない!
そして氷床により身動きの取れないモンスターに標的を変えた。
1番近くに居たアイスオーガの無防備な心臓部を一突き。
【レベルアップしました】
目目連の告知など無視して、すぐさま次の獲物へと駆け出した。
アイスタイガーの鼻を目掛け刃を振るう。
ガチンと牙を鳴らし目の前の氷床から巨大な棘が伸びる。
響は即座にサンダーボルトを放ちそれを破壊。
振るわれた刃は顔面を切り上げた。
「ふっ!!」
そしてその軌道をなぞるように返しの次刃。
十字に斬られたアイスタイガーはそのままグッタリと頭部を氷床に預けた。
【レベルアップしました】
「次!」
すぐ後ろには変異種。
横薙ぎをしゃがんで躱すと、変異種の丸太のような脚にサンダーボルトを放ち一瞬の隙を生み、再びモンスターへと駆け出した。
胸部を切り付け、首を刎ねる。
【レベルアップしました】
顔面に膝蹴りをかまし脳天に刃を突き立てる。
【レベルアップしました】
背後から横一閃に両断する。
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
合計7体を殺しレベルは6上がった。
限界突破で全ステータスは6ずつ上がっている。
それに加え素の上昇値と、志大才華の振り分けポイント。
志大才華のポイントは元々あった3と合わせてごうけい9。
それを力に7、速度に8と振り分けた。
「うし、次はお前の番だ」
響は先程までより1段階強くなっている。
それを知らない変異種は大きなハンデを背負っているのと同じだ。
斧を振り飛燕で斬撃を飛ばすが──
「遅せぇ」
身体を半歩右へ動かすと斬撃はギリギリの所で空を切った。
この時、響は完全に変異種を凌駕した。
変異種は雄叫びを上げながらその巨体で推し潰そうと突っ込んでくる。
1歩踏み込む毎に大地が揺れ、木々に積もっている雪がはらはらと落ちる。
「ふぅ……集中しろ……」
響は納刀し柄にギリギリ触れないよう手を添え、完全な脱力。
バチ、とその手に雷が宿る。
ただ一点、突進する変異種の首を見つめ深呼吸。
距離はあと10メートル程。
──あと一歩。
そして変異種が斧を振り上げながら、響の間合いに足を踏み入れた。
「今ッ!!!!」
瞬間、脚は大地を蹴り高く飛び、雷の宿る手は白光を掴み一気に引き抜いた。
それと同時に刀身は雷を帯びる。
雷撃一閃。
渾身の一撃は変異種の首にめり込み、肉を裂き骨を断った。
ゴロン、と音を立てて生首が転がる。
変異種の怒りに満ちた眼は、死してなお響を睨み付けていた。
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
【レベルアップしました】
【スキルブック中級】
・剣系統 飛燕Lv1
・MP10使用し、任意の斬撃を飛ばす。
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