第28話 3日ぶりの帰宅

前書き

新作、この身勝手な異世界に復讐を

投稿しましたので、よかったらみてやってください!


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「あ〜極楽極楽。やっぱり風呂って最高だなあ」


あれから響は家に着くと湯を沸かし、湯船に浸かり疲れを癒していた。

3日ぶりの風呂にはさぞ癒しの効果があるだろう。


「あ、そうだ。ステータス」


【ステータス】


Fランク覚醒者 佐藤響 Lv79

HP:695 MP:150


功績:ジャイアントキリング 単独踏破


力53

防御力43

知能46

速度50

精神力58


スキル

・不屈の精神Lv5

・目目連Lv2

・臨界点Lv7

・弱点特攻Lv4

・ライトニングボルトLv2


なにか思いついたのかおもむろにステータスを確認。

前回確認したのはアンデットジェネラル戦の前。あれからレベルは1しか変わっていないので、勿論ステータス値も大きな変動はない。

目立つのは功績の単独踏破くらいか。


「やっぱり……この臨界点ってスキル、俺のレベルと比例して上がってる」


レベル10につき、スキルレベルが1上昇しているのは間違いない。

そもそもスキルレベルは通常ここまで早くレベルアップしないものだ。


基本にレベル上限は100。順当に行けばその段階でスキルレベルも10になるはずだ。

今の所このスキルからはなんの恩恵も得られていない。可能性があるとすれば、その時しかありえない。


「目目連」


【スキル:臨界点Lv7】

・一定レベルで発動


もしかして、と思って目目連先輩に頼ってみたがスキルの説明は以前と何ら変わりはない。


「駄目かあ……内容がわからないとちょっと不安なんだよな。悪い事は起きないだろうけど、過度に期待もできないって言うか……とりあえずレベル100にならないとわかんないか」


口で言うのは簡単だが、通常レベル100となると相当な努力を続けなければならない境地だ。

しかし響はF級。

ここまでのレベルの上がり方から察するに、F級のレベル100の必要経験値はC級のレベル50にも満たないだろう。


そう考えると、組合副会長であるクラッドはA級のレベル79と言うのは化け物だ。

一体どれだけダンジョンにもぐればいいのか検討もつかない。


バシャバシャと湯船のお湯で顔を洗い、


「当面の目標は決まったな。レベル100が最優先! 適当な攻略隊に入って安全にレベル上げしよう」


風呂から上がると、ソロ攻略の疲れがどっと押し寄せてきた。

響は髪も乾かさないままベッドに寝転ぶと直ぐに意識を手放した。


────


──



ピンポーン。ピンポーン。


「んん、むにゃむにゃ。あと5時間……」


寝返りをうって布団を頭まで被り現実逃避。

ピンポーン。ピンポーン。

ピンポーン、ピンポーンピンポーン。


そんな響に追い打ちをかけるように、やかましいインターホンラッシュ。

時刻は朝8時。室内に鳴り響くインターホンを無視するのに限界を感じ、ガバッと布団を捲り、


「だあああうるっせぇな! 朝らっぱらからピンポンピンポン! クソ迷惑な野郎だな! 一言いってやる!」


佐藤響は寝起きが悪かった。

眠たい目を擦り、ズカズカと玄関をあける。


「なんだよ朝っぱらか……ら……」

「ん!」


ドアの前に居たのはご機嫌ななめそうなおばちゃんだ。手を差し出し、何かを求めている。

早朝におばちゃんによる騒音被害など、寝起きの悪い響と喧嘩になるのではとも思ったが、どうやら杞憂に終わったみたいだ。


「お、大家さん……支払日までまだ2日……」

──あ、俺ダンジョンに3日篭ってたんだ。オワタ。


「あんだって? アンタとうとう日付もわかんなくなっちまったのかい! 5万6000円とっとと払いな!」


うむを言わせない大家さん。やはりどこの地域でもおばちゃんは逞しい存在だ。


「あー……うーんと、それがですねぇ。ちょっとした手違いと言いますか……だからぁその、ね?」

「ふん、そんなこったろうと思ったよ! あんたも何時までも夢見てないで定職に着いたらどうなんだい!? いいかい、明日中に払っとくれよ!? わかったね! じゃないと追い出すかんね!」


バタン!

おばちゃんは吐き捨てるように言って乱暴にドアを閉めた。


「やべえ完全に忘れてた。今日中に用意しないと……約6万かあ。またソロでもするかな……はあ」


盛大にため息をつき、響は家賃を得るという名目で再びソロ攻略を決意するのだった。

ちなみにこれは余談だが、報酬金の残りは延滞していた支払いで消し飛んでしまっている。

佐藤響という男は、基本的にはだらしのない生物なのだ。



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