第47話 黎明

【スキルの再構築が完了しました】

【スキル 臨界点Lv10がユニークスキル 黎明之刻デサフィアンテLv1に変化します】


黎明之刻デサフィアンテLv1:自身が敵と定めた対象が強ければ強い程、一度に限り攻撃の威力が増大する。

使用後全てのステータス値が30秒間半減する。クールタイム180分】


「ユニーク……スキル?」


目目連により表示されたのは臨界点の再構築により得たユニークスキルである黎明之刻。

響の功績に基づき再構築されただけあって、格上に特化したスキルだ。


しかし、どれだけ威力に補正が入るのかが曖昧であり、一度の戦闘で使えるのも実質1回きり。

外したり、防がれたりしてしまえばその後は地獄だ。


──どの道もう動けないんだ。このスキルに賭けるしかない!


黎明之刻デサフィアンテ


一陣の風が吹き、とめどなく溢れる力は輝きとなり響を包み込んだ。


──すげえ……これが、ユニークスキルの力……これならいける!


底から湧き上がる力は、今までとは比べものにならないほどのものだった。

目目連の通りなら、敵のフラクタスがそれだけ強敵だという証明である。


「今更何をしようと変わらぬと言うのに……愚かなり人間よ!」


三叉槍を天に掲げると、空間にある全ての水が切っ先に集まっていく。


──水が吸い寄せられていく……いやでもこれは……


「水禍・水神龍」


収束した水は巨大な水神流となり、こちらを睨み付ける。

見ただけでわかる。

これは先程の大瀑布よりも高火力だ。

というより恐らく大瀑布はこれに繋ぐ為の技なのだろう。


この技が正真正銘、フラクタスの最高火力だ。


「負けるかよ……お前なんか負けてたまるかよッ!!」


響もそれを理解している。

自分に言い聞かせる様に叫んだ。


フラクタスは掲げていた三叉槍を振り下ろす。

それと同時に水神龍は大きくうねった後、巨大な口を開け一直線に迫る。


──大丈夫。ミアを信じろ。


ドクンと心臓が高鳴る。

響は己を、ミアを信じ右手をフラクタスに向けた。


それを呼応するように響を包みんでいた光が掌に収束する。

雷がバチバチと迸る。


──1人じゃない。俺達二人でアイツを倒すんだ!!

「サンダーボルトォォォァァァッ!!」


響はこの局面で大きな賭けに出た。

放たれた雷撃は雷鳴を轟かせ巨大な龍となって水神龍を迎え撃つ。


「雷だと? そんなもの我には効かぬと……なにッ!?」


先程の水だけならサンダーボルトは無効化されていただろう。

しかし、あの水神龍を形どっているのは純水の他にミアの魔法も大量に混じっている。

そうなってしまえば当たり前のように雷を通す。


二頭の龍は咆哮を上げ激突。


「砕け散れえええぇぇぇ──ッ!!」


拮抗する間もなく水神龍は雷龍により破壊され飛沫となり四散した。


「なッ! ぐッ……あああぁぁぁッ……」


雷龍はフラクタスを呑み込み放電。

止むことのない雷鳴は叫びを掻き消し、最後に一際大きな雷がフラクタスを撃った。


土煙が晴れると黒焦げになったフラクタスの姿。

堅固だった龍鱗からはプスプスと煙が立ち上り、その威力の凄まじさを物語っている。


「わ、我が……人間などに……」


その言葉を最後に、フラクタスは絶命しどさりと倒れた。


「か、勝ったのか……ああくそ、もう力が入らない……」


全ての力を使い果たした響は、緊張の糸が切れたのかその場で尻もちをついた。


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