第48話 秘めた想い
【レベルアップしました】
【称号:ドラゴンキラーを獲得しました】
【ドラゴンキラー:ドラゴン系モンスターとの戦闘の際ステータスが30%アップ】
【功績:
【
フラクタスを撃破した事によりレベルが5上がり、更に功績や称号まで手に入れた。
ドラゴンキラーは活用場面がかなり狭いが、その時になれば大きな力になるだろう。
それに、自由に振り分けられるとなると理想のステータスバランスにすることも出来るという事だ。
しかし今の響にとってレベルアップ含めそれらの事は心底どうでもよかった。
表示された文字を見ようとすらしていない。
ただ、今は少しでも早くミアの元へと行きたかった。
安心し、安心させたいと心から思っていたのだ。
ゆっくりと立ち上がり一歩、また一歩とよろめきながらも歩いていく。
「ミア……終わったよ。全部終わった」
「ん……信じてた……でも、本当に……良かった。おかえり」
ミアはボロボロになった響の手を取り、両手で優しく包み込み微笑んだ。
「うん、ただいま」
響はこの小さな女の子を守れた事が、たまらなく嬉しかった。
この温もりが愛おしい。
少し甘ったるい匂いが好きだ。
出会って間もない二人だが、連結ダンジョンという地獄を乗り越え、確かな絆が生まれた。
そしてどうやら、響には別の感情も生まれているみたいだ。
「帰ろうか、ミア」
そう言って背を向け、しゃがみ込んだ。
ミアは何も言わず響に身体を預け、首に手を回した。
少し顔が赤くなっているのはきっと気の所為ではないだろう。
ボスであるフラクタスを倒した事により、少し離れた地点にゲートが現れた。
響はミアをおんぶしながらゆっくりとゲートへと向かっていく。
その途中、寂しそうに転がる白光を発見し回収した。
ふと、ミアがぎゅぅっと首に回す手に力を入れ、照れくさそうに、
「……守って、くれて……ありがとう……」
「俺の方こそ、いっぱい助けて貰ったよ。ミアが居なかったら勝てなかった。だから、ありがとうミア」
「ん……響、ミア……提案が、ある……」
「奇遇だな。俺もミアに提案があったんだ」
「……なに……?」
「ええ、順番的にミアからじゃ……痛い痛い、叩くなよ。あー……その、なんだ」
「……早く、言って……」
「こ、これからも一緒にダンジョンに行こう。俺達ならどんな相手だって大丈夫だと思うんだ」
──ダメだ。恥ずかしすぎて好きだなんて言えない!!!
「……」
「……あれ? 聞いてる?」
「……響の……ばか……」
「うわっ! ちょ、暴れるな!ポカポカするなって!」
「……知らない……ばか響」
ミアは満面の笑みでポカポカと響の頭を叩き続けた。
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