第23話 旧い出会い
十六層でユウヤ達は彷徨っていると、十人の冒険者と出会った。転移罠にかかってから、初めて出会う冒険者だ。おそらく、中堅程度の実力には達しているだろう。
ユウヤは冒険者に助けを求めることにした。
「すいません。報酬は高めに払うので、たすけていただけませんか?」
「……あれ。前に会った奴じゃん。お前」
冒険者の一人が勇者を指さした。しかし、ユウヤに見覚えはない。
「どちら様でしょうか」
「あぁ〜? 出刃ネズミの戦闘で会っただろうが。忘れたと言わせんぞぉ。それに貸しも一つあった気がするが、まぁ、それはいいだろ」
「あぁ、そういえば……」
ユウヤは記憶をなんとか手繰り寄せて思い出せた。ただ、どうしても他の冒険者の記憶はない。
「俺、一人の時だったり、変装してたりで分かりにくかったろ」
「また、あんた変なことして」
「えぇ……」
女性の冒険者が、出刃ネズミの時に知り合った冒険者を殴る。
「で、助けて欲しいんだったな。報酬、そして、何階層まで届ければいい」
「金貨2枚、とりあえず、これでどこまで届けてもらえますか?」
「十層までだな。そっからはもう一枚かかる。俺達も時間を無駄にしたくないし、物資も無駄になるんでな」
「それじゃ、そこまでお願いします」
ユウヤは財布から金貨二枚を取り出して、冒険者に手渡しをする。冒険者達が関心したような顔に変わった。
そして、冒険者達と一緒に迷宮を進んでいく。
「もし、俺達が金だけ持って逃げようとしてたらどうしてたんだ?」
軽く笑いながら、聞いてきた言葉。ユウヤもしっかりと言葉を返す。
「まぁ、離れたところで、アビリティを使って一人くらい殺します」
「おぉ、怖っ。ちょっと前まで出刃ネズミと戦ってたのに成長したな。身長もめちゃくちゃ伸びてるし」
「成長くらいします」
ユナを抱えて歩いていると、女性の冒険者が話しかけてきた。
「その背負ってる娘。私が持ってあげよっか」
「金かかります?」
「かからない」
「じゃあ、お願いします」
ユウヤが女性にユナを渡そうとしたところでユナが浮き出した。(持つって魔法のことか)とユウヤが考える。
「どうだー。乗り心地」
ユナが魔法に一言。
「き、気持ち悪い」
ユナが吐いた。流石、冒険者なのか一瞬にして距離を離していたが、スライムがゲロを吸収しただけで終わった。
「スライム便利だねー」
冒険者がスライムにエアなでなでをする。カイマは軽く嫉妬して、冒険者の前に立つ。
「かわいい!」
カイマに対しては普通に撫でた。スライムが体につくのが嫌なのか、ゲロを吸収したスライムだから嫌だったのかそれは本人に聞かねばわからない。
「魔法で浮かすってどんな修行してたんですか?」
「普通に修行してたら、浮かすくらい出来るようになるよ」
「へぇ」
ゲームなどでは分からない情報だった。もしかしたら、小説の魔法使い達は使えたかもしれないが、描写を見てない以上冒険者の言葉を信じるしかない。
冒険者達の行動は華麗ではなかったが、プロの動きだった。連携はあまりしていなかったが、格下にはそういう行動の方がいいかもしれない
ユウヤは冒険者達の動きを見て、参考にしてみることにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます