第三章 不可思議な謎

第1話 教会

 ユウヤは一日の迷宮探索を休んで、借金返済のために教会に来ていた。ステンドグラスは下の方が分厚くなっており、経過年数をしっかりと表していた。教会の中は明かりをつけていないのに、異様な光を放っている。

 借金返済の目的が無ければ、ゆったりと鑑賞していたいほどだ。


 教会のシスターがやってくる。


 案外、地球の時と階級の名称などは変わらないらしい。ただ、教会自体が金の仲介人だったりとおかしな点はあるが……。

 (銀行っぽいところはこの世界にもあるのにな)

 ユウヤが金貨一枚をシスターに差し出した。

 ユウヤの残金金貨七枚と銀貨五枚


「金です。借金返済のために来ました」

「はい、お待ちしておりました。金貨一枚、しっかりといただきました。残りの借金は金貨98枚と大銀貨2枚程度ですね。利子も少ないので、しっかり返していきましょう」

「それでは」


 ユウヤがそう言って、去ろうとしていたところを「少し待ってください」とシスターに止められた。


「貴方、魂が淀んでいますね」

「はぁっ?」

「こちらへどうぞ」

「……」

「お金は取りませんよ。百%、私の善意です。もしかして、ご用事でもございましたか?」

「いや、ないです。いきます」


 シスターの気迫に押し切られ、暗い暗い暗室に案内された。椅子に座らされると、背後から魔法を掛けられ始める。なんだか、お風呂に入った時のような気分になってくる。


 夢と現実の狭間にいるような――


「終わりました」


 目を開けると、暗室だった部屋が青く澄んだ模様の部屋へ変わっていた。ユウヤは思わず、


「わっ、綺麗な部屋」


 と声を漏らした。シスターがクスクスと笑う。


「最初から部屋はこんなだったんですよ。貴方はおそらく迷宮の通いすぎでおかしくなってたんです。レベルも変わっているはずです」


 シスターの言葉を聴いて、金属プレートを見る。

 すると、ユウヤのレベルが十五にまで上がっていた。


「……友人がいるんですが、連れてきてもいいですか?」

「いいですが、その友人には料金を取らせていただきますよ? 銀貨一枚分の」

「全然、大丈夫だと思います」


 ユウヤはそう言って教会を飛び出し、大地を駆け巡る。――迷宮探索を休むことにしており、その日は皆に会うことはなかった。


―――

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