第13話 魔力解放

 攻撃の準備が完了したらしく、ゴーレムは一瞬だけ動きを止めた。ユウヤは危機を感じて後ろに下がる。風斬り音とともにゴーレムの拳が振り下ろされ、細かな石が飛び散る。


「オオォォォオォ!!」

「……ん?」


 ――ゴーレムの能力か腕が逆回転し始め、石を引き寄せる。


「ッ、ぉあっ!」


 石がユウヤの柔肌を裂いた。石の引き寄せが終わった後のゴーレムの腕はトゲがついたような見た目になっていた。チッ、と舌打ちをしながら、炎の魔法を刃に纏わせ切りつけた。

 この方法が最も効率的な攻撃だった。


「はぁ……、なぁんで俺は引き受けたんだ。これ『虚ろなる力よ。真となれ«灰禍嵐炎ハイカランホ»』」


 ユウヤは、笑いながら魔法を放った。灰色の炎がゴーレムを包み込む。

 ゴーレムが魔法を払おうとしている間に、剣を使い一点集中で石を削った。


「……ッ」


 ゴーレムがユウヤを殴る。

 純粋な質量による攻撃――ユウヤは血だらけだが止まらない


「オォン!」


 ゴーレムの拳がユウヤに迫るが剣を使って受け流した


「«天鎖浄火»!」


 ニィナの魔法を真似てゴーレムに攻撃する。そして、スライムでユウヤは傷口を覆った。カイマは攻撃力不足のためユウヤが避難させた。


 ゴーレム、ユウヤが動きのギアを上げた。


 ゴーレムは腕を、めちゃくちゃに振り下ろす。豪快に振り下ろす。振り下ろす。ユウヤは魔法で撹乱しながら、当たりそうになれば力を最大限発揮して防ぐ。


「オォォォオン!」


 また、ゴーレムは手首を回転させ始めた。


「今だ! スライムゥ!」


 スライムはゴーレムの腕に入り込んでいく。多少、スライムは少なくなるだろうが、試す価値はあると判断したのだろう。


 ――ゴーレムの手首の動きが鈍くなっていく。


 ドロドロとゴーレムの腕から液体が漏れ出してきた。


「はぁああぁあああっ!」


 花魔術を使って、スライムから根を出していく。徐々に花に侵入されている岩が盛り上がっていく。ユウヤはそこを力に任せて攻撃をする。効果は薄い。

 ゴーレムに振り払われて、ユウヤは地面に転がる。


「はぁ……ははっ。楽しくなってきたわ」

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