第12話 囮

 ゴーレムを無事に避けるが、他にも大量の人形やゴーレムがいるので、立ち止まることなんて出来ない。イシィとエスタントアがユウヤのことについて話し始めた。


「大丈夫かなユウヤ。あいつ、共鳴だけであんな巨体を倒す火力とかないでしょ」

「そういえば、確かに……。ユウヤは私とかエスタントアに任せるか、全員で倒すくらいしそうだけどね。まぁ、ラフトとか魔人を倒した時の力かなんかを使うんじゃないかな」


「――気になるんだけど、ユウヤって、迷宮で得意としてるのって何?」


 討伐隊の内の一人が会話に割って入ってきた。


「得意……か」

「知識とか暗記じゃないか? スキルを使った戦闘もかなりのものだが」


 イシィが言葉を詰まらせるが、エスタントアがしっかりと答えた。普通に会話をしていたが、クインが反応を示す。


「無駄に会話して体力減らすんじゃないよ」

「そういえば、クインが一番詳しいじゃん。教えてよ」

「これ言ったら会話やめろよ?」

「うん」


 クインが数秒、思考を張り巡らす。意外にも斥候が出来るメンバーを除いて、その答えを待っていた。


「やっぱり、スキルによる戦闘だ」

「私が言ったのとまんまー」

「しょうがないだろ。ちょっと前の生活とか性格面だったら、俺が詳しいが、得意なものだもん。…………はい、この話は終わり!!」


 その時、ラントーテが手配書に載っていた顔をしている者を発見した。


「見つけた! キャリー」


 ◆■◆■◆■


 ユウヤは苦戦を強いられていた。例にもれず、ゴーレムには雑念ばかりで共鳴は役に立たない。

 ゴーレムの攻撃が単調なことが救いだろう。


「オォォォオン!」


 ゴーレムが大声で叫ぶ。ゴーレムがいる場所は九層でもかなり広い、部屋となっていたが、その部屋の中で反響してしまっている。


「ちっ、ゴーレムのくせに声帯とかあるんだな。くっそ……うるせーなー」


 ゴーレムが振りかぶり、手首が回転し始めた。おそらく、轟音の原因はその技によるものだろう。ゴーレムの巨体も凄いが並大抵の音量ではなかった。

 回転している腕から石臼を挽いた時のような音が漏れる。

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