第11話 クラン名は……

「確か、クラン名とかってルビ振れたよな」

「そうなのか」

「研修で習ったぜ」


 (いやぁ〜、研修でクラン名のルビ振れるって分かってなんになるんだろう)ユウヤはそう考えてしまった。


「簡単に分かりやすい名にしようぜ」


「――ウィッシュレクイエムとかどう?」

「――永禮星ながれぼし来る深潭しんたいにしたら注目されること間違いなし!」

「めっちゃガチに考えるやん」


 ユウヤ以外は、ワイワイとしてカッコいい名前を付けようとしてる。ユウヤもその流れに参加して名前を考える。


「迷宮って言ったら神秘とかだしそういう意味のも含める?」

「まぁ、語感最優先で入れられたらにしよう」

精華せいかとか入れた〜い。真価を成すとかの意味があるんだよ〜」

「正直、ルビとかあるし語感はルビに任せてカッコいいやつにしよう!」

「オシャレにしよう。ダサすぎないように」


 とりあえず、名前を決めることが出来た。


「アイ色に踊る精華レーヴライアー

「……厨二病だな」

「いいでしょ。それでもさぁ〜、大人とかも変な名前にしたりする訳だし」

「そっか。なら、俺達がやっても恥ずかしいことはないな」


 受付にクラン名を登録し、依頼の受理をしてもらった。依頼の受理をしてからは、すぐに依頼を達成しなければ評価は下がってしまう。


「ピッケル持ってるやついる?」


 ……いない。金でも皆で出して、ピッケルでも買いに行こうとしていたところでイシィが手を挙げた。


「なんだ?」


 「カンキョウあるし、私が掘るよ」――とのことなので、そのまま鉱石を取りに向かった。


 ◆■◆■◆■


 迷宮にいると、ニィナが「あ」と声を漏らした。ユウヤ達がそちらの方向を向くと、面識のない冒険者がいた。


「どうしたんだ?」

「いや〜、ユウヤさんがサダバクと決闘をした時に色々と教えていただいた人です」


 お〜い、と呼びかける。冒険者は反応し、手を振ってきた。しかし、こちらに近づく様子はなく、警戒しながらどんどんと離れていってしまった。迷宮の中だし警戒するのも当然だろうが、ニィナは少し傷ついた


「本当に今日は知り合いに会うしどうなってんだか」

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