第12話 夢?
「――おい! ユウヤ!ユウヤッ!」
突然、声が聞こえてくる。サイレンのように、鐘の音のように響いている。ユウヤも別に拒否反応が出ることもない。いや、ユウヤには安心感が湧いてきた。
――魔力を感じた。
どこかで経験したことのある波長。ユウヤはその声の方へ『共鳴』をすることにした。
(俺だけなんだ。絶対に助けてみせる。共鳴を……)
――意思を感じた。
その思考は暖かい、湯水に浸かったようなものだった。はっきりと気持ちが芽生える。そちらへ行きたいとユウヤは願った。
手を伸ばす。
床の底が抜けて、目が覚めた。
「……」
ユウヤとナカが見つめ合う。ユウヤはすぐさま動き出すが、その間ナカは固まっていた。チクチクと何かがユウヤの体にささる。
体の方を見てみると、体中に花が咲いていた。
他の奴らももしかしたら……とふと考え、横を見るとクイン達にも花が咲き誇っている。
「ユ’’ウヤ……本当によがっだ」
ナカは泣いてはいなかったが、ユウヤが目覚めたことにより安心したことがありありと感じられた。
(この魔物、名前なんだったか)そう考えながら、共鳴を使って皆の目を覚ました。
◆■◆■◆■
「いや〜、おっそろしいなー。あの花を咲かせる魔物」
「そうですね」
迷宮探索の中、皆がそう語った。
「あれは、どんな魔物なんだ?」
「確か、幻想の花っていう魔物だ。大怪我を負った生物に対して寄生する。幻覚を見せてきたりするなそして、レベルが上がってくると成長しきって花が咲く。まぁ、違うタイプもあるが今はいいだろう。……一番怖いところは夢は完全に夢ではなく起こった出来事だったりすることだ。意味不明さから特に凶悪な魔物として扱われてる」
「だから、ナカは大丈夫だったんだ」
「だがそれだったら、なんでステータスで状態に変化がなかったんだ?」
「分からない。ただ、レベルによる罠であり、恐ろしい」
(幻想の花は、ゲームのベータ版、小説で登場していた。……本当になんで低階層に現れるんだ。初見殺しがすぎる)
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