第42話 魔物の脅威

 カチューシャとの修行を終えると、冒険者ギルドに向かう。ユウヤは昼飯をいつものようにクレナの弁当で済ませているので、平気だった。

 皆と合流すると、迷宮に行く。


 ◆■◆■◆■


 迷宮の雰囲気が一層から違った。丁度よいくらいの気温に感じていたが、少し肌寒い。


「なんか……いつもと違う」 

「迷宮も気温とか変わるんですね」

「迷宮も人によっては試練とか言われてるからな。もっと、深層は極寒になったり灼熱の地になる。(ここも鬼畜な要素なんだよな。唐突な気温対策を強制されるし)」


 ユウヤの言葉を聞いて皆が嫌な顔に変わった。


「ただ、安心してな。こういう時は魔物は気温などの魔力の性質変化で弱体化することも多い。不定形のこいつとか除いてな」


 ぷにぷにのスライムをユウヤは取り出した。スライムは跳ね回るが、パフォーマンスが落ちたようには全く見えない。


「へぇ、そんなものなんだ」


 クインがスライムを手招きすると、スライムはクインに乗っかる。

 そのまま、五層を進んでいくと膨大な魔力の流れを感じ取った。明らかにおかしいことだ。ユウヤ達は魔力の流れに逆らわない術を使えれば、よかった。生憎使える者は誰にもいなかったが――。


「やばい。逃げるぞ」


 急いで四層に向かうが、‘‘奴’’は目の前に現れた。

 肉体は光を反射しない漆黒、全てが一本に繋がっている摩訶不思議さ、くねくねと常に揺れ動くが前の動きと繋がらない挙動をしている。

 正に神秘。


「化け物め!」


 ユウヤが剣を振ろうとした瞬間、ユウヤの腕に巻き付いて、皮膚の内側に入ろうとしてくる。


「ユウヤ」

「ユウヤさん!」 

「チッ」


 共鳴を使っても反応はせずに体への侵入は続く。ユウヤは冷静に化け物に触れた部位を切り払い、腹と思わしきところを蹴った後に皆で逃げ出した。


「なんだ!あの化け物は……ユウヤ、はやく教えてくれ!」

「……俺も知らない」

「なっ」

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