第43話 恐怖の大王
何か情報を得られないか悩み、ユウヤは呪符の力を発動させると、奇っ怪なその姿の全貌を見てしまった。
ところどころに裂けた口、ギョロギョロと蠢く目玉、玉虫色の気分を害すような異常な肌。
あまりの異常さにユウヤは吐いてしまった。
「ユウヤ!攻撃された時にやられたのか!?」
クインがユウヤの前に立ちながらそう言っていたが、ユウヤは何も言葉を返せない。エスタントアが化け物に観察の時間は与えまいと『カンキョウ』を発動させ殴ろうとする。
しかし、化け物は一瞬にして天井に張り付いて、天井からのしかかり攻撃を仕掛ける。
「クソが」
エスタントアは仕方なくカンキョウを全身に纏って防御し、警戒してほんの数秒大人の姿となり抜け出した。
カイマは隙をついて、毒牙を食らわせる。
「キュウ」
油断していたその時、カイマの口からとげが飛び出した。カイマから飛び出したトゲはすぐさま化け物に吸収されて傷は治った。
「俺は分身だから、囮になる!! 行け!」
クインはエスタントアの力を感じ取っていたが、それで対抗不可能だと判断すると、自ら囮となって皆を逃がした。
「急ぎましょう。おそらく、長く持ちません」
十数秒後、クインの悲鳴が聞こえてきた。
「何か、分身がやられるとフィードバックが起こるものも多いらしいけど、大丈夫なの?」
「クインのは大丈夫なタイプだったはずです。あいつがハッキング能力を持ってない限りは!」
◆■◆■◆■
迷宮から戻ると、受付にすぐ連絡した。疲れて少し休んでいるところにクインがやってきた。
「おっす」
「化け物相手してどうだったか? 無事か?」
「無事だよ。まぁ、分身があの後どうなったかはよく分からんな。ある程度は本体が操作出来るけど、死んだら記憶を読み取れないんだ」
ユウヤの腕は冒険者ギルドで軽く治療されたが、その程度だった。化け物の情報を伝えて少し報酬に色をつけてもらえたのは良かったが……
◆■◆■◆■
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