第26話 結末を

 魔人はユウヤの湧き上がる力を感じて、エスタントアとカイマを吹き飛ばして従者に任せることにした。


「(サダバクとの戦いも楽しかったが、アビリティも全然使ってくれずに終わっちまった)……楽しもうぜ!」


 魔人はそう言うが、ユウヤは「知るか」と一蹴して殴る。ユウヤは二度の異変により肉体は変化し、内部にいる者から魂の補給を可能として、乗っ取られた時と同等の強化をしていた。

 殴り合いでは魔人とユウヤは同格。

 しかし、ユウヤは共鳴のアビリティによって相手の動きを狂わせ続けていた。


(調子はいい。が、エスタントア達が不安だ。あいつらには従者が見えないかも……)


 ユウヤがチラリと戦闘を見る。すると、カイマが盛大に攻撃を食らっていた。


「おい! ライミ達! 共鳴の力を使って敵を見えるようにする! エスタントアをサポートしてくれ!」

「あ、あぁ、分かった!」


 カイマはじかで共鳴することが出来るが、エスタントアに直接は繋げられない。そのため、他の奴らに頼んだ。

 隙を突かれて殴られる。


「『鉄は血の味がする《ユニフォームハードネス》』隙ぃ、見せちゃあかんよ!」

「うるっさい。近くで大声出すな。すぅ、『止まれ』」

「!?」


 ビタっと魔人の動きが止まり、その隙に殴打の連撃。ユウヤは共鳴を使って、技を再現していた。

 ユウヤは殴打を選んだが剣で攻撃をしても良かった。しかし、ユウヤの剣は安く‘‘脆い’’。そのため、殴るのみで済ませた。


「殴るだけって甘いね。上澄みの奴らは小さな傷くらいだったらすぐに治す。そうやって、継戦能力は高まるんだ」


 ユウヤが体を見てみるが、さっきの攻撃でも掠り傷は残っていなかった。


「へ〜、いいこと知った。内臓引き出すか四肢もいでやる」


◆■◆■◆■


 従者との戦いは順調に進んでいた。エスタントアは従者に喋る暇も与えずに攻撃をし続けている。


「うおぉおおおお!」

「キュアアァ!」


 逆にエスタントアとカイマは叫び続けていた。意思疎通はしにくそうでも、レベルの影響か聞こえているようだし、なにより従者を追い詰めていて逃げ道はない。

 従者をどこまで殴れば倒せるか、そう考えていた時バチバチと従者の体が光った。


「まず――っ!」


 エスタントアの『カンキョウ』が皆を覆って守った。カンキョウを解除すると、ライミ達の前には従者は見えない。

 エスタントアが「自爆したみたいね。ユウヤのところに」と言った。


「ど、どこに行ったんだろ」

「待って、共鳴でも分からない」

「カイマ?」


 カイマが案内をしてくれるようだ。カイマに続いてエスタントア以外は走っていく。エスタントアは嘲笑っていた。「エスタントア」と呼ばれるとエスタントアも皆を追う。


「く、そ……」


 実はサタラナマの従者は生きていた。エスタントアが共鳴の部分を一部切っただけ。エスタントアの従者がサタラナマから加護を吸おうとしたその時、白髮の女が割って入り吸収、去ってしまった。


「やられてしまいましたね」


◆■◆■◆■


 皆がユウヤのところに来た時、もうすでに魔人は殺されていた。ユウヤが言うには「途中で魔人の動きが悪くなったから、その隙を狙った」らしい。

 従者は魔人にとって重要な部分のようだ。

 こうして、魔人との戦闘は終わった。

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