後半※おそらく
第27話 話し合い
魔人との戦いは魔人側の死亡によって、終わった。しかし、低階層への転送により元々いた冒険者がパニックとなり、怪我を負わせるなどの事件が発生してしまった。
さらに最近はかなりの問題があるため、支部の上層部と上澄みの冒険者は会議を開くこととなる。
「最近は、問題が山積みだ。一つの事件に付随する話題が多すぎる」
ギルドマスターことアスミが問題をはっきりと言った。
「最近、我が冒険者支部に入ってきたユウヤという者に対しての根も葉もない噂が絶えん。彼が魔物の種族を問わず暴れまわる
「正直、噂を抑制するのなんか無理っすよ。そんなことが出来る賢いやつが冒険者ギルドに来るなんてそういないし」
「だから、ここが荒くれ者の最後の砦みたいな扱いを受けてるしな」
「サダバク、君の意見を聞かせてくれ」
「えぇ……、魔人のことについて中途半端に明かさずに全部明かすのはどうだ? 俺達は問題が起きた時、自分達ですぐに鎮圧出来たが今回は散々なものだった。だが――」
「新参はどうなるだろうな。魔人についての情報はラフトが言っていた突然の勧誘。また、噂をばら撒かれそうだな。中途半端に情報をやっても魔人は元人間でパニックだ」
「教会の力を借りよう」
「え? 教会に?」
「教会には迷宮についての話やデータが載っていたはずだ。そこを無理矢理にでも結び合わせて、ユウヤを英雄に仕立てあげる」
「そんなことが可能なのか?」
「出来るとかじゃなくてやる。ラフトはユウヤが未来に影響を与えたのかも……と言っていた。そこで、運命の英雄として扱おう。ラフトが襲ってきたことについては、ユウヤが怪我を負っていたのを知っている者もいた。そこは極力触らないようにするぞ」
◆■◆■◆■
イシィ達も帰る日を決めていたが、事件(魔人)によって返金対応され、ユウヤ達と飲み直しをしていた。
冒険者ギルドから魔人についての情報やユウヤについての噂が流されて、一時はさらに話題が多くなった。しかし、日に日に噂は静まっていった。
「エスタントア、魔人は死んだけど、危険な目に遭ったし冒険者……止める?」
「私は、まぁ、別に面白ければなんでもいい。用事がたまにあるけど、それ以外はなんもないし冒険者続けても大丈夫」
「はぁ、よかった……」
ユウヤはエスタントアの言葉を聞いて、安堵していた。ユウヤは度数の高い酒を煽る。そして、イシィ達との別れの言葉を済ませる。
「ラフトって魔人の襲撃の時は本当に助かった。ありがとう。いっぱい修行して健康に過ごしていてくれ」
「頑張って修行してくるよー」
ラントーテは軽口だったが、目尻には小さな涙を浮かべていた。
「湧水火流を極められるようにする。それでまた冒険者しよう!」
イシィは元気いっぱいに答えた。ふんふんと鼻息を荒くしていて非常に頼もしい。
「魔法の習得とか頑張っておくよ」
ナカは飄々と言った。ナカはやる気というものは人並みだが、皆のためとあれば頑張ってくれるだろう。
彼らは、大切な仲間だ。
皆、【稀代の英雄譚】には名前も載っていない。ただ、ユウヤにとって彼らは英雄。また戦える日まで他で心の穴を埋めながら進むのだろう。
―――
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