第25話 魂
「カイサトぉぉお!」
貫かれたのはカイサト。三人が仲間になることを断った中で、関係がない唯一気まずくない人が――死んだ。
隣にいたコウジナが殴って攻撃しようとするが、ユウヤ、エスタントア、カイマが先に攻撃を当てた。
「わっちょっちょ」
変な声を出しながら、魔人がよろめいた。しかし、魔人の回復は早くてすぐに体制を戻す。
そして、魔人は少し不思議な反応をした。
「お前、知り合いと顔が似てるな? 呪具とか作ったりする?」
「するわきゃねぇだろう!」
「そうなん? 子どもっぽい見た目も同じだし、おんなじ人だと思ったんだが……」
「大人なめんな」
エスタントアがカンキョウを纏い、変身した。元の子どもの雰囲気はなくなり、大人の女性の雰囲気を醸し出している。
「……アビリティ、か?」
魔人がキョトン、と困惑していた。エスタントアが拳を顔にかまそうとするが、そこまで油断するはずもなく片手で防いだ。
ユウヤは強壮薬を飲むか悩んでいた。元のユウヤはしっかりとアビリティを把握していたが、今はそうではない。しかし、そんなユウヤでも分かったことがある。
強壮薬は魂を消費するということを――経験値を取り込んだ時に経験値はすぐに消費されてレベルが上がらないように感じられるだけなのだ。
「キュア!」
カイマが先にエスタントアと魔人との戦いに参戦した。他の奴らはまだレベルが一、特別な力がある訳でもない。その場でじっとしてる他なかった。
最低でもベテランの冒険者を相手にまだ冒険者になったばかりのエスタントアが戦っている。前回逃げたはずのカイマが戦ってくれている。
ユウヤは覚悟を決めた。
「俺もやらなきゃ……」
「「え?」」
皆が声を漏らしたのは、ユウヤが小声で喋ったからではない。ユウヤが袋に入った強壮薬をじかに飲み込んだからだ。
内臓がひどく熱い。ユウヤがくたびれたように、やる気を失ったように腰と膝を曲げて壁に手をつける。
「大丈夫か?」
ライミが心配をするもすぐにユウヤは立ち上がり、髪をかきあげた。
「行ってくる」
ユウヤは返事を聞かずに戦いに突っ込んでいく。
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