第51話 丸薬

 修行も終わりを迎え、報酬をもらったのでカチューシャともお別れ……と思っていたところ次の仕事までユウヤの家に住み着くことになった。しかも、召使い付きで――。


「こんな家にいなくていいのに」

「そうです。お嬢様はスラムと遠く、なるべく安全な場所で過ごさなくては……」


 ユウヤと召使いは否定的な考え。だが、


「いいのいいの。私の戦闘能力舐めてもらっちゃ困るわよー? アビリティの力を強める特訓のために迷宮に行ったこともあるんだから」


 カチューシャは住む気満々だった。迷宮に行くつもりはないらしいが、お転婆娘とはまさにこのことだろう。


「はぁ〜、なんか、変なことはしないでくれよ?」

「しないしない」

「それじゃ、俺は薬師のところに行って、薬をとってくるから、まぁ、話といてくれ」


 クレナ、召使いはう〜ん、と気難しそうにしているが、カチューシャは反対にとても明るく振る舞って二人と話そうとする。

 ユウヤが扉の鍵を閉めて、エルダのもとへ向かった。


 ◆■◆■◆■


 店につくと、エルダが待っていたのか店頭にいた。


「こんにちは」

「こんにちは。薬の仕入れ、出来ましたか?」

「出来ておるよ。こっちへこい」


 倉庫、のようなところにユウヤは呼び出された。中には薬や様々な道具でいっぱいだった。エルダが箱を取り出してくる。


「これを使え。いま」

「え?」

「食え。ちゃんと噛めよ」

「あ、はいぃ……」


 箱から薬を取り出すと、丸薬が出てきた。一粒噛むと甘みが噴き出してくる。それては別に異様な感覚が体を駆け巡る。局在がはっきりしない周期的な鈍痛や灼熱感などでは治まらない。言うなれば、内臓がひっくり返るような痛みであろうか。


「まずっ。しかも、あまったるい」


 ユウヤは少し舌足らずになる。


「あぁ、男の子に戻る薬は甘いらしいようじゃの。逆はただ単純にまずいようじゃがの」

「性別で変わるんですね。面白い。……丸薬はどこで作られてるんですか?」

「遠い西で作られておるの」

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