第17話 転移

 数日後、パーティーで迷宮に潜っていると、ライミが近寄ってきた。


「どうしたんだ?」

「はぁ、ハァ……ユナ、がなんか道を、歩いて、る間にぃ、ハァ、消えちゃったの」

「もしかしたら、転移罠かもな。ユナ、辛いだろうが、案内してくれ」

「ぅん」


 ライミについていき、六層についた。(六層で転移罠に引っかかるとは、運がないな)ユウヤがそう思いながら、転移罠について話していく。


「転移罠は、行き先が決まってるが、どこにつながっているのか分からないっていうものだ。たま〜に、隠し魔物に会える」

「それってどっちの方が不味い?」

「どっちも不味い。まだ、ユナは十分に成長してないだろうしね。しかも、隠し魔物は既存の魔物の亜種や強化版も出てくる」


 (準備する時間はないな)ユウヤはそう考えながら、『罠感知』が発動する。ライミとユウヤは同じように止まった。他のメンバーもワンテンポ遅れてから立ち止まる。おそらく、スキルは得られても熟練度に差があるのだろう。


「ここか」

「そうだね」


「誰を連れて行こうか」


 ユウヤの言葉にニィナが反応した。


「全員で行かないんですか?」

「あぁ……隠し魔物がきついんだ。睡魔、サキュバス、インキュバス、ベルゼブブ辺りは三大欲求に関わってくる。正直、精神攻撃に耐性のある俺だけで行きたいところだ」

「そうだな。俺たちのところには、聖職者がいない」

「……頼んだ」


 ユウヤが深呼吸をする。心を落ち着かせる。慎重に装備を手で触り確認しながら進む。


「俺はまだまだおこちゃまだし不安だから、九層辺りで待っててねん」


 軽口を叩いた後、ユウヤは罠の中に入り、ユナの場所へ向かった。サダバクの転移魔法とは違い、真っ黒な背景が数秒続いた後、ユウヤは床で倒れていた。

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