第5話 無双
ユウヤは安堵しながらも少し暗い表情を浮かべていた。さらには、ため息まで吐いてしまう。エスタントアが気を使って優しく問いかける。
「どうしたの? 気分悪いの?」
「いや、若者部門の奴ら実力がないなぁって」
「まぁ、遠征行ってるんじゃないですか? 正直、景品は若者部門渋いですし」
「あぁー! そういや、遠征か。景品は試薬品か金貨だったよな。しょぼいな」
「他には悩みあります?」
「後、呪符の申告忘れてて、どんなのか審査する人というか鑑定をする人によれば、呪符は申告いらないらしくてな」
「まじですか。まぁ、良かったじゃないですか。申告いらないやつで」
「ユウヤさん、次の試合です」
ユウヤは呼ばれたので、試合に向かった。呪符の時に聞いたが、試合毎にアイテムを変えてもいいようにするため、聞いているらしい。一々変えるのは少ないが手札を詳しく知られたら不利なやつは変えてるようだ。
申告が終わると、試合の舞台へと上がる。
どうやら、魔法使い、槍使い、剣士とバランスのいい三人パーティーのようだ。
試合のコングが鳴れば、ユウヤは軽く挨拶をした後に突撃する。
「よろしくぅぅ!」
遠慮のない突撃に虚を突かれていたが、試合なのですぐに適応して剣士がまず前に出る。
数回剣戟を繰り広げた後、剣士の剣を持った腕を切り落とす。槍使いには攻撃出来ないように剣士を挟んでいたが、魔法使いの詠唱が聞こえてくる。
剣士の顔を土台のような形で、一気に飛び上がる。
「«蔓の籠»」
宙を飛ぶユウヤの脚を掴んで地面に叩きつける。
「ぐぅっ!」
普通の者ならば脳震盪でも起こしていそうだが、ユウヤは起き上がって回転斬りで蔓を払った。
「喰らえ!『蛇腹突き』」
槍がくねくねと曲がりながら、ユウヤの腹を突き刺し持ち上げた。
「……いいよなぁ。俺もこんな技が欲しい」
「は?」
「『パワーインパクト』!」
「«心を射貫く
数瞬の間に剣士と魔法使いの技が近づいてくる。そんな時、ユウヤは槍を掴んで貫通させ、滑り落ちながら首を斬り落とした。
流石にパワーインパクトはかすってしまったが、魔法は避けることに成功する。
「く、狂ってる!」
「片腕で耐えてるあんたも大概でしょ」
ズバッと剣士の首を掻っ切る。
「強っ」
「いや、まぁ、喋らないで連携出来てただけそっちも強いよ。まぁ、主力にサポートするだけっていう単調なものだったけど、ね!」
魔法使いの首も掻っ切ると、試合は完全に終了した。ユウヤの耳に歓声が聞こえてくる。
「ふぅーー!」
試合は終了してユウヤのことを見えてはいなかったが、ユウヤの叫びによってさらに歓声は強まる。
ユウヤは楽しそうに笑いながら、槍を取り出して服と肉の再生を果たした後は審判と一緒に準備室まで帰っていく。
「ただいまー」
「早かったね。傷痛くないの? あんな槍貫かれて」
「いや、なんか魔人戦からね。痛みは感じにくくなったの。なんか当たったとか危機感的なのは働くんだけどね。魂の乖離の状態に近いけど、そんなやばい状態とは金属プレートにも書かれてないし、まぁ、大丈夫」
「ふーん、次は私達で試合して終了だね」
「もう決勝戦?! スポーツやってたけど、今日一日で終わるってマジか」
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