第10話 冒険者同士で楽しく
少し前のお話。文長くて追加した話なので少しハートが少ない
ユウヤ達は他の冒険者のパーティーと訓練所で戦っていた。今日はちょっとした景品もある大会があったようなので、そこに参加することにした。
1年以内に参加資格がある初心者用の階級を選ぶことにする。
「俺達、一ヶ月は絶対経ってない……くらいだっけか? それで、よくやろうと思うな」
「まぁ、全力でやるわけじゃないし」
「アビリティ使っちゃうと圧勝だろうからね」
結果的には三回戦辺りで負けた。やはり、強いパーティーはもう迷宮に潜ってしまっているから、一回戦、二回戦は勝てたのだろう。
そして、負けた後に上の階級の試合を見に行ったが、参考にはならなかった。
まず、動きを目で追いきれない。細かい技の応戦とかなんとなくは分かるが、初心者に不覚理解出来ない。しかも、たぶん、本気の戦いをしていない。確実に持久戦に持ち込もうとしていて、こっちからしたら短期決戦を見たいのにグダグダ伸ばしてる。
「最初に迷宮についての注意喚起だったり、景品で釣ってるガチの遊びって感じだ」
「こりゃあ、ガチのやつは来ない訳だな」
「まぁ、サダバクは遊んでるけどな」
サダバクはグルミと組まずに一番上の階級を荒らしていた。
「あいつはそういうやつだし、冒険者ギルドにいっつもいるからな。決闘の時はわざわざ来た感出してたが……」
「面白いならなんでもよさそうなやつだから気をつけろよ」
クインがイシィ達に注意しとく。
「ここにいるのも時間の無駄だし、依頼で有益そうなものも無いから、迷宮行こうぜ」
■◆■◆■◆
そこからは面白みのない日々が続き、冒険者になってから一ヶ月が経った。
戦闘、戦闘、戦闘、戦闘、休憩、戦闘、依頼、戦闘、戦闘、戦闘。
ただ、それが普通のことだ。そして、それが幸せなこと。日常を暮らしていけばいい。特別なことが起きるのは――。
ユウヤ達は、迷宮の五層までは進めるようになっていた。
Level4を除いて、皆一つLevelが上がった。そして、ユウヤは何度も強壮薬を作っていたからか『調合術』とかいうスキルを得たりした。
ほとんどが順調で不穏なことといえば、嫌な気配を感じ続けていることだ。しかも、試されているように探知に何かが引っかかる。
冒険者ギルドではいつもそのことで会話する。
「なぁ、ユウヤ、悪意のある人を発見するやつとかないのかよ」
「あるけど、今は無理だろうなぁ。回復薬とかも劣化版しか作れないから残してる訳だし」
「なんだっけ? なんか、ろくでも無かった気がする」
「痛みを感じにくくするっていうのと、少し治りが早くなる。使うと毒状態になる、だったな」
「ロクでもないねぇ」
最近は伸び悩みを感じてきていた。その中で一番伸び悩んでいるのは、クインだろう。もしかして、クインがゲームで他の奴らを頼っていたのは、限界を感じていたのかもしれない。
「ここ数日で冒険者の死亡者数ゼロらしいし、さらに大怪我のやつも減ったし、その劣化品は売れないだろうな」
「強壮薬はすごく売れてますけどね。そのお金で材料買って猛練習してスキルのLevelを上げませんか?」
「借金あるから、ユウヤはやらんだろ」
「いや、最近は魔物の肉とか仕入れたりしてるから、金使いにくいんだよ」
「ほ〜ん」
今日、冒険者ギルドは早めに酒の提供を止めて、店の部分を締めた。
■◆■◆■◆
冒険者ギルド内では、サダバクやギルドマスターが集会をしていたようだ。
魔人についての会話である。
死亡者数、怪我人数共に減ったが、嵐の前の静けさかもしれないと会話を繰り広げる。
「注意喚起をしているが、冒険者は皆楽観的なようだな」
「魔人について話さないならそうなっても仕方ないっしょ。しかも、ガチ勢とかはイベントを無理矢理作っても迷宮いくし」
――――――
ラフトは本の内容を見て従い続ける。
「――で――といった状況です」
『いつ頃になって、行くの?』
「後、少しだよ」
ラフトは従者の報告を聞き続けながら、呪具の女の子とも会話を続ける。そして、従者の報告が終わると本を開き、内容を再確認。
こうして、やっと少し先の未来を見た――。
ラフトとユウヤ達との戦いになるのは、もうすぐだ。
◆■◆■◆■
唐突なことではあるが、冒険者の依頼を受けることにした。薬草の材料となるイミュール草の採集――報酬はそれによって作られた回復薬の一部だ。
「後ろで魔物が現れたぞ!」
ユウヤが叫ぶと、魔物はあっさりと姿を現した。
グレーの犬のような形をしている魔物。
どちらとも«探知»に頼ることが多いので、深い層を目指すためにも、スキルの『敵感知』を得る鍛錬中。
「ダードックだ。精神攻撃に気をつけろ」
「『共鳴』を!」
「了解」
ユウヤがメンバー全員に『共鳴』する。
ラントーテが威嚇を発動させると、ダードックは怯んで動けなくなる。
クインとイシィが剣で斬りつけた。
ダードックは攻撃されて、攻撃性を取り戻し闇の魔法を発動させた。
「ゥオォォン!」
「やっぱ、鳴き声は犬に似てねぇなぁ」
ユウヤが精神攻撃を肩代わり――無効化する。
クインが追撃をするが、ダードックは軽快に避けてしまう。
「『一・
「«風断ち»」
イシィが着地するところを狙って、ダードックの足を切り離し、ナカが魔法で見事で敵を倒した。
「やっぱり、皆さん凄いですね」
そう言いながら、ニィナは解体作業に移り、仕事を終わらせた。
「あの、『解体』のスキルを得られました」
「おぉ、やったな」
皆が喜びながら、ユウヤはスライムに残りを食わせる。
「レベル全然上がらないな」
スライムが消化しきるのを待っていると、クインがそう言葉を発した。
「まぁ、仕方ないさ。魔物はそうポンポン出てくるものじゃあない」
ナカがクインに向かって言った。ナカの言葉はその通りだし、ゲームのように出てこられても困る。今の状態が一番良いと言えるだろう。
「食い終わった。行こう」
ユウヤ達はイミュール草の群生する条件を知っていたため、すぐにイミュール草を発見出来た。イミュール草の好む場所はヒカリゴケという光源の近くで湿っていないところ。
「薬草採集とかやり方教わったけど、ユウヤ出来る?」
「俺も実際の薬草は初めてだが、盗賊は器用さも上がるから俺がやるよ」
「おぉ」
「あんがとぉ」
予備の青銅の短剣を使って、ちょちょっと成長点よりも下の部分を切るだけなので、かなり綺麗に取れた。
「成長点あるとか完全に雑草だよな〜。なぁ、友人達」
(クインの友人発言久しぶりだな。しかも、達なんて言葉使うなんて……俺も覚えてねぇよ)
「そうだねぇ。雑草って厄介だよねぇ。私の家、農家ってほどじゃないけど、自給自足出来るくらいにはやってたから分かるよ」
クインの発言によって、ラントーテの実家事情が少し知れた。イシィやナカはそのことを普通に知っていたようだ。
「採集、完了! 帰るぞ」
「ユウヤさん、肩に変なのいます」
「え?」
ニィナに言われて、肩を見てみると小さなトカゲがいた。
「え? 何こいつ?」
「ユウヤでも知らないの?」
「いや、こいつが成体じゃないから分からないのかも……殺しとく?」
「……仲間にしてみれば、スライム仲間に出来るんだし」
「あ」
メンバーが全員警戒していたが、ナカの言葉でまぁ、それなら……といった雰囲気となった。
「キュ」
(こいつ、鳴き声とかあるしやっぱり普通のトカゲじゃないな)
ユウヤがそう思いながら、共鳴を使うがあっさりと‘‘繋がった’’。
「抵抗なしで成功した……記憶飛ばさなくていいんだ」
「? なんか言った?」
「いや、成功したって言っただけ」
そう言うが、ニィナには聞こえていたらしい。ユウヤは学習出来ていなかった。
「まぁ、それじゃあ、本当にかえ――」
今までとは違うシンプルな悪意を感じた。当然、魔物とも違うため、緊張し汗もかく。
「どうした?」
「たぶん、敵だ。冒険者の」
「感知出来るのか」
「いや、スキルの効果に過ぎないよ。どこから来るかは分からない。«探知»を共鳴で合わせる」
「了解」
「「探れ探れ。見つけたいのならば。新たな感覚を«探知»」」
ニィナとナカの«探知»を強引に混ぜ合わせる。合成魔法などはあるが、比べ物にならないほど性能は悪いだろう。ただ、今までのよりは何倍も性能が良い。
「どうだ?」
「冒険者が一人で、探知を阻害しようと……。ナイフが来るぞっ! 気をつけろ!」
投げナイフが飛んでくるが、ユウヤが弾く。
「おそらく、透明化を使ってる。魔力でブレイブと合わせるぞ」
「え?!」
「分かった」
ユウヤは共鳴と火の魔法、クインは魔力を送り続けサポートをする。無理矢理で剣が折れてしまうが関係ない。
「三・二・一」
「「「ブレイブ!!」」」
魔力を纏ってサイズは異様に大きくなり、金色に光った剣を凪ぐ。あの冒険者でも一溜りもないだろう。
「逃げるぞ!」
「はい」
その後は細心の注意をはらいながら、逃げて依頼は達成された
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