第48話 まさか

 オークを倒した後、エスタントアが疲労をうったえてきたため、迷宮から冒険者ギルドに行く途中にある三人が手を振りながら近づいてくる。

 二人は女性で、一人は男性だ。


「あ、イシィ達じゃん」


 クインがパーティーに聞こえる声量でそう言った。三人との距離も近づいていき、ユウヤが見える距離となる。そうすると、ユウヤの顔はみるみる明るくなるが、また暗くなった。

 エスタントアがユウヤに聞いてくる。


「……どうしたの。ユウヤ」

「私、変わっちゃったし、大丈夫かなってさー。思ってねー」

「まぁ、大丈夫だろ。――おーい、みんなー」


 クインがイシィ達の方まで走っていった。ユウヤ達もつられて走っていく。

 ――イシィとラントーテは困惑していた。ナカはというとその変換の魔法に興味を示している。案外、ナカにも興味のあるものがあるのだなと感じたユウヤであった。


「それで、イシィ達は特訓終わったのか?」

「いや? 前にお……うか亭だっけか? そこでアイドル一緒に見ようっつったろ。時期とかは故郷あっちで把握してたんだ」

「そういうことなのか。嬉しいぜ。一時的にでも会えるなんてさ」

「まだ、二日あるし適当に迷宮行こう」

「そうですね!」


 その後、イシィ達は宿を探しに、ユウヤ達は冒険者ギルドへ魔石などを換金しにいった。銀貨一枚が報酬となり、ユウヤの全財産は金貨13枚、銀貨4枚、銅貨1枚だ。家賃などで少し金を使ったが、十分に金はある。


 ◆■◆■◆■


 薬師にいつ治るかなどをユウヤは聞きにいくと、色々と教えてもらえた。わざわざ、ユウヤのためだけに変換の魔法を専門家に聞いてきたようだ。素直にユウヤはそのことについて嬉しんだが、変換のことで表情が変わる。


「金貨五枚の薬を買う必要があるようじゃ」


 どうやら、ユウヤは成長期を過ぎていないようで、その場合は特別な薬を飲まないと女性のままらしい。高価な理由はやはり薬があまり販売されないから。


「男に戻りたいんで、買います!」

「じゃあ、一ヶ月間、毎日薬を摂取してな。薬は一日1錠で飲みなのぅ〜」

「すぐ、治らないんですか!? たっかいのに」

「必ずしも、値段と効果は釣り合わんじゃろうて。後、薬は取り寄せだから、明日に渡すわ」

「はい」


 (変換について新しいことを知れてよかった。ゲームとかで完璧ではないと痛感してたが、年齢とかで効果が違うなんて……。簡単なことに疑問をなぜ持たなかったんだ)

 ユウヤが家に帰ると、クレナと飯を食べる。


「それじゃあ、まぁ、服とか更に買った方が良さそうか? まだ、女性服は少ないでしょう?」

「まぁ、そうなんだけどね。一ヶ月で治るならまぁ、ちょっと洗う程度でもいいのかなって思ってる」

「まぁ、我慢できるならいいと思う」

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