第14話 新たな魔術

 迷宮の帰り途中で、ニィナが急にソワソワとしだす。


「ニィナ、どうした?」

「いえ、体に違和感があって……」

「幻想の花の、メリット的なやつだよ」

「メリット?」

「そう。寄生されると体は変化して、花の魔術を覚えることが出来る。……言ってなかったなー。そういえば」


「おい、角にゴブリンがいるぞ」


 会話していると、ゴブリンが現れた。ユウヤが「花の魔術を試すいい機会だ」と言って前に出る。

 初めての魔術だ。ユウヤも魔力を全力で注ぎ込みながら、殺意を込める。それに少し前に会った不審人物達のような悪意も――。

 ゴブリンが石を投げようとした時、迷宮の壁は割れてそこから飛び出たツルがゴブリンの腕を掴む。


「ギャア?!」

「もういっちょうぉ〜ッ゙!」


 ツルがゴブリンの四肢を掴んで、引っ張り始めた。ゴブリンは悲鳴を上げ、皮膚は裂ける。そして、ゴブリンの体は四つに分断した。


「疲れた〜」


「迷宮の壁でこれほどの魔術を使えるなんて」


 ユウヤは能力に疲れ、ナカは能力に驚く。


「個人の資質も重要だけど、性別によって、得意になりやすい属性はあるからね。俺が今女っていうのもあるさ」

「……まず、俺は花の魔術を使えるようにはならん。寄生されてないからな」

「あぁ〜」


「そういえば」 


 クインが手を挙げた。


「どうした?」

「いや、俺、分身でさ〜。本体は精神が無事?な感じなんだけど花の魔術使えるようになるか?」

「知らん!!」


 ユウヤは息を荒げながら、進み続ける。


「……疲れたから水場行っていいか?」


 水場に寄るが、水はかなり淀んでいた。油の膜や血がないのことが幸いだ。


「呪術で水の浄化やるんだよな?」

「あぁ」


 呪術を用いて水を飲んだ後、冒険者ギルドに戻って鉱石を渡して報酬を受け取る。

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