第22話 相対す

 ユウヤ達は冒険者ギルドの飲み会に参加して酒を煽っていた。イシィ達も退院をはなしたようなので、ちょうど良かったのだ。


「……あんたが、イシィ。それにラントーテ、クナハナカか……」


 エスタントアもユウヤが話していた名前を覚えているか不安だったようで、指をさして確認する。


「まだ、会ったこともないのに、私達の名前を知っててくれたんだね。エスタントアちゃん」

「イシィさん。私、十五歳ですよ」

「いいじゃん。私の方が一歳年上でしょ?」

「は、はぁ」


 エスタントアはどうやらイシィの雰囲気が苦手なようでかなり困っていた《苦しそうだった》。


「イシィ、エスタントアに迷惑だぞ。メンバーが気になっても初対面に対してそんなグイグイ行くなって言っただろ」


 ナカがイシィの会話を止めに入った。イシィも生返事で反省はしてるように見えない。ラントーテはエスタントアの方に行かずにユウヤに「おひさ〜」と挨拶をする。


「久しぶりだね。ラントーテ。病院では酒を飲めかなかったけど、飲めるようになって嬉しい?」

「嬉しいに決まってんじゃ〜ん」


 ラントーテはジョッキに酒を注いで、一気に飲み干した。


「ふぅ〜、キンキンに冷えて美味しいー! ……そういえばさ、クイン達は帰ってこなかった? まだ、会ってもない?」


 (おそらく、それを聞くためにわざわざ俺のところに来たんだろう)とユウヤは瞬時に理解出来た。

 正直、出し渋ることもないのでラントーテに話した。


「クイン自体には会ったが、すぐに帰っちまった。まだ、時間が掛かりそうとだけ言ってな」

「そうなんだ」


 ラントーテは落ち込んで大きなため息を吐いた。


「えぇ?! そんな職初めて見た!」


 聞こえたのは明らかにイシィの声。エスタントアの『無辜宿したる民』という職に驚いたのだろう。ユウヤも見たことが無いので、イシィが驚愕しても無理はない。エスタントアもその考えでイシィのことは多めに見てあげた。


 安らかな幸せ。


 ――ただ、一瞬にして戦場へ変わる。一体の魔人が冒険者ギルドに侵入した。そして、奴は言った。「ユウヤはどこにいる?」と――。


 そして、答えてしまった。禁断の問いを。


「あぁ、はい。ユウヤですけど」

「そうか」


 奴はあどけない表情で嗤う。そして、また一言。


「お前等、俺と殺し合いをしよう!!!」


 バンッと床を壊して、魔力を向き出した

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