第4話 迷宮探索

 ユウヤの1週間での冒険です


 ユウヤ達にはもう研修が無いので、集合してからすぐ迷宮に行くようにしていた。一層から下がって二層、三層に行く能力は十分にあった。

 四層からは視界が暗くなって明かり無しでは活動は出来ないので、さらに深くはおりない。

 ただ、深く潜らなくとも職業の力は凄まじく、その職業にあった力ならばどんどんと学んでいける。

 ニィナはもう«探知»の魔法を覚えていた。


「魔物が右方向にいますね。おそらくは二十メートルほど離れていますね。非情に小さく集まって浮遊しているっぽいです。これは〜非情に厄介な刺突攻撃はかなり高難易度の〜―――」


 ニィナの言葉が止まる。悩んでいるようで、魔法のために目を瞑りながらも微妙に動いている。

 クインが魔物の名前を思い出した。


「エントマだっけか?」

「正解。もう二層にいる魔物は覚えていたか?」

「「なんとなく」です」


 それでもかなり凄い方で冒険者は基本手帳に書き留めておく。そして、奇襲する魔物だけは覚えておく感じだ。探索に必要なのは名前だけではなく特性も知っておかなければならない。

 なんとなくでもユウヤが直していけばよいこと。


「接敵するかしないか選ぼう。どうする?俺は戦う派かな」

「戦っときたいですが、うまみが無いです」

「狩ったやつ一応食えるぞ」

「そういうのはなしで……まぁ、探索して収穫無しは嫌なんで私は戦います」

「俺も……たぶん魔法ゲーだけど」


 皆が賛成を選んでくれたので、エントマの察知能力に気をつけながら近づいていく。


「詠唱。いくぞ」

「はい!」

「「『我、願う――虚ろなる力を我が贄となり――魔術魔法よ実体とかせ――想いの丈の炎は燃え続け敵を焦がし、全て焦がすだろう!』«焔鎖浄火てんさじょうか»」」


 異様に詠唱が長い理由は、消費魔力を少なくしようとイメージしていく内にそうなってしまったのと、詠唱が二つで合わさってしまったからだ。

 ただ、この業は非情に優秀だ。

 ――熱に気づいた虫達だったが、一匹がやられると連鎖的に広がる。魔法というのは便利なものだ。


「ふう、今完璧に詠唱合ってたね」

「共鳴したからでしょうね」

「……」


 ここ最近は変なことが起きすぎているが、また起こっていたのだ。ニィナに共鳴が使えるようになったことである。急に繋がりが薄くなったと思ったら、ニィナのクインに対して惚気は増すし、それについて相談された。


『私、どうしたらいいんでしょうか』

『どうしたらって、好きなんだったら告白でもすれば?俺、仲は良いと思うけど、いい雰囲気に出来るかっていったら出来んし、恋愛についての共感も』

『共鳴、したから、分かると思いますけど』

『ゲっ』

『まぁ、困りますよね。‘‘そんな二人で喋ることは無い’’ですし。クインは基本あなたばかり見ています』

『え?友情に比べると重いかなって思ってたんだけど、クインってホモだっけ?』

『違う!』


 ユウヤはこのメンバーがかなり異質だなと感じる。


「魔石とかこの虫ってどうするんですか?」

「あぁ、こいつはそのまんまバックにぶち込むんだよ。色々と便利な虫らしい」

「後片付けも楽だな」


 クインは魔法によって剥がれてしまった体の破片に迷宮産の特殊な苔を被せていく。これは死体専門のスライム達がくるのが遅いためだ。匂いが強すぎて魔物がうようよ寄ってきてしまう。

 しかし、動物の‘‘もの’’は消しきれない。上層では基本気にする必要はないくらいだろう。

 その下層に行くために訓練をしている訳だが……


「こういう隠す時には呪術を使いたいな」

「呪術に便利なのがあるの?」

「あぁ、用途が似ているのが多いなか、«神隠し»は中々使える。名に神を冠しているだけに隠す能力は別格。魔物でさえ感知できない」

「どうやったら、それ修得出来るんだ?」

「いや、それは俺も分からん……」


 片付けが終わったと同時にユウヤ達はまた奥を目指していく。


「あっ、また発見しました。天井に今度はおそらくスライムだと思いますね」

「了解」


 警戒状態に移る。そして、魔法を使うほどでも無いので槍でスライムを突付く。


「不思議だよなぁ。スライムも群体なのに核もつくるんだよな」

「生物というよりも魔法生物的に有利なんじゃないかな?伝達が楽になるとか……」

「あっ、そういえば、共鳴でやりたいやつあるからさ。殺さないでいてくれない?」

「わかった」


 クインが槍を使ってスライムをはたき落とした。

 ユウヤがスライムに少しずつ近づいていくと―――

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