第21話 決着

 ユウヤ達は好転したかと思い、攻めている。だが、女は冷静に剣を振るった。何かが壊れる音とともに、見える世界が狭まった。


「何を……?!」


 しかし、ユウヤ達はそんなことには驚かなかった。驚いたのは女の次の行動――。

 「うおぉおお!」と叫びながら、女は地面に剣を突き立て、地面を裂いた。


「ホワああああ!」

「わぁあああ!」


 着地の隙を狙われ、ユナの剣を弾き飛ばす。ユウヤは姿勢を気にせず、女に体当たりを繰り出した。ユウヤが上乗りになり、剣を突き立てる。

 ――ユウヤの鼻から鼻血が飛び出した。


 女は、ユウヤを吹き飛ばす。


「大丈夫? ユウヤ」

「鼻血が止まらない」

「たぶん、魔法の術式を斬られた。ユウヤはこのアビリティに耐えれる体とはちょっと違うから、耐えかねているんじゃないかな」


 魔法というのは、術式を作り出し放つものだが、中級者上級者は代償に使えるため術式を表に出す者はいる。どうして、術式を出さない者がいるかというとどういった魔法か分かるからだ。

 ユナもそこは理解していた。

 ただ、(まさか魔法の術式を破壊される)と微塵も考えてはいなかった。


「これ《アビリティ》の即出しが利点だけど、詠唱するしかない、か」

「詠唱の時間、稼ぐよ」


 ユウヤが女を抑える。女の身体能力が下の階層に移ったことによって跳ね上がっていた。

 (長くは耐えられなそう)

 ユナが詠唱を始める。


「『知は力――魔力を用いて空を操り――瞳に映し出されるは無数の星!――我は、神に願う』«粒子の星空»」


 ユナも鼻血を出しながら、参戦。女にまた迷宮に穴を開けられないように、強壮薬を飲み力を上げる。


「あはっ、楽しもぉぜぇ!!」

「……」


 女を押し始める。


「おっりゃあ!」


 勢いづいたユウヤが女の剣技を弾いた。


 女が驚いた瞬間にユナが腹を切る。

 隙をついて、花魔術の樹によって、女の腹を貫く。興奮状態のユウヤでも戦闘を長引かせることはせずに敵を撃ち滅ぼすようだ。


「く……そ…………」


 女が捨て台詞を吐いた後、ポンっという音とともに本が現れた。


「ハァっ?」

「なんじゃあこりゃああ!」

「これ、本体?」


 ユナが本を立て、指で本を倒す。


「本が落ちるってゲームじゃあるまいし……」


 ユウヤが【稀代の英雄譚】を思い出す。(そういや、ゲームだったか)

 本を触るユナにユウヤが指摘する。


「呪われてるかもしれないから、せめてバッグに入れていこう」

「はい」


 ユウヤ達は女が開けた穴を花魔術の樹で登り、穴を樹で塞いだ。


「……俺も穴開けられるか?」

「え?」


 花魔術で迷宮の上部十七層の天井に攻撃する。


「うわっ!」


 ユナはユウヤの行動に困惑と驚きを隠せなかった。穴は空いたかというと、人一人分通れないかといった穴は出来ていた。ユウヤ達は十六層へと登る。


「(強壮薬使って、一人分の穴で限界だし、)つかれたな」


 ユウヤ達は、休憩することにした。

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