闘技大会

第1話 まさかの詐欺!

翌日となり、冒険者ギルドに行くとエスタントアがいた。サダバクならユウヤ達朝から迷宮に行くことも知ってそうだがいなかった。なので、軽く説明をしてみた。

(ま、エスタントアも参加してくれるだろ)

 ユウヤがそう考えていると、予想外の言葉が飛んでくる。


「それ、個人のやつ二ヶ月後じゃん」

「え?」


 ユウヤは見る項目を間違えていた。『最大六人まで組んで戦闘可能、召喚獣などはその限りではない』‘‘チーム’’の闘技大会にはそう書かれていた。


「あの野郎! 個人って言ってたのに……! 騙しやがったな。今からでも抜けるか」

「そんなのもったいない」


 エスタントアがユウヤを引き止めた。ユウヤの都合の悪い時にエスタントアの悪いクセがでてくる。 

 どうしようかとユウヤが悩んでいた時にサダバクが現れた。


「お前等、想像以上に朝早いな。で、闘技大会に行くか決まったか?」

「は〜い、決まった!」

「えぇ〜」


 エスタントアが先に答えてしまった。その後、ユウヤが「そういえば――」と言って話をきりだす。


「なんだ?」

「チームっていうのを黙ってたので、弁明ある?」

「ない!と言えば嘘になるが、なるべく出場枠を埋めたいからな。そういえば、チームって気づいたんなら、エスタントアとユウヤで同じチームにするか?」

「ガチで個人でやらせようとしてたのかよ」


 やはり、サダバクは優しい部分もあるが、クズの部分が多いようだ。


「完全個人でいいっすよ〜。年齢別っぽいし」

「まった、エスタントアー!」

「きゃー」


「それじゃ、行くか。転移魔法使うぞ」

「はぁい」

「へい」


 (精一杯、クレナの会話の話題になれることくらいはしよう)ユウヤは決意を固めると一瞬にして、ガヤガヤとした人混みに飛ばされて、エントリーシートを書かされた。


 濃い人物ばかりだ。その中でヤバいのは召喚獣に座りこんで他の仲間と話している奴……おそらくはユウヤと同年代だろうが強い。

 ユウヤが見つめていると召喚獣の召喚士が絡んできた。


「君、強いでしょ。お互い頑張ろうか」

「……はい」


 召喚士と挨拶を交わした後には、受付からルール説明を受けた。

 1死亡しても文句なし

 2最後までなるべく戦う

 3百メートル四方の闘技場で場外となってはいけない

 4ショック死をされたとしても責任はとらない

 5パーティーメンバーは最大6名だが、召喚士、調教師テイマーなどについてはその限りではない

 6三つ限り特殊能力を持つアイテム、消費アイテムの使用可能(武器や防具は特殊能力を使用しない限りアイテムの枠に含まれることはない)


「えげつない内容だな」

「だね。まぁ、ユウヤは魔人とか酷い目にあってるとか言ってたし、ショック死はしないでしょー!」

「はっはっはー。まぁ、そうだけど……魔人ラフトについて話したっけ。エスタントアに」


 なんやかんやでエスタントアとユウヤは話していると、いつの間にかいなくなっていたサダバクと合流した。


「どこ行ってたんだ?サダバクぅー?」

「あぁ、俺は大人の方にしたからな。それで別の受付に行ってたんだよ。ガキ含めた総合部門もあるが、腕慣らしにもならん。まぁ、ユウヤとかのガキ部門だと最近話題なのいるから、いじってみてぇーな」

「ガキ部門なんて言うなよ……」


 その後は、サダバクとの戦闘訓練をして、闘技大会への仕上げをする。闘技大会のために鍛えたのはその日限りだが……

 近くの高級宿に泊まり、疲れを癒やした。

 次の日、闘技大会開催当日となると、人だかりはえげつないものとなった。


「眠れたか?」

「眠れたが、エスタントアと二人でシングルベッドは流石に切れたぞ」

「……」

「へいへい、眠れたなら良かった」


 サダバクとは会話を済ませると、別の部門なので別れた。ユウヤとエスタントアは複数人いる出場選手控え室で観戦をする。

 さっそくサダバクの試合だと思って見てみたが、サダバクの魔法による圧勝だった。


「やっぱ、サダバクって強いんだなー」

「ですねー」


 と、感想の言い合いをするが、全く時間もかかっていないものだから非常に淡白な会話になる。次の試合は総合部門、さらに次はユウヤ達含む若者部門で進んでいく。

 エスタントアが試合をするため、控え室を離れる。


「やぁ――」


 突然、声を掛けられ振り返ると、受付で会った召喚士がいた。


「対戦相手だから、挨拶をと思ってね」

「ありなんだな」

「この闘技大会はルールが緩いからねー。ショック死以外は生き返るっていう凄いところだからね」

「やば!」

「うん、やばいやばい。けど、君は負けた相手が死んだ時、どう思ってたの? 生き返るのも知らない反応だったが」

「え、なんか魂の動きは止まんないから大丈夫かーって」

「あぁ、アビリティ持ちか。なら、その反応でも納得だね」


 (エスタントアもおぉー!という反応でみていた。……あいつも特殊か)ユウヤは緩い体制でエスタントアの戦闘を見る。


「あ、この子、君の近くにいたけど、仲間かなんか?」

「まぁ、仲間だよ。というか、俺のことはユウヤって名前で呼んでくれ。そんな君とか言わないでくれ」

「あぁ、分かった。嫌ならそうするよ」


 召喚士はそう言った後、黙ってしまった。(いや、黙るんかい!)ユウヤはそう考えながらも、自分も相手の名前を知っておこうと対戦表を見ると、ハンスという名前らしい。

 おぉーっ!という歓声や実況の声を聞いて、慌てて試合を見ると三人チームの魔法使いの首をさっそく切り落としていた。


「めっちゃグロいな」

「まぁ、観客側はフィルターかかってるけど、殺し合いするこっちには必要ないしな」

「……凄いな技術力」

「技術もさることながら、魔法、呪術の使い方も上手いぞ強制的な殺し合いの場にするのと、どっちかは確定で死ぬことにする代わり魔法で生き返るようになるんだ」

「そうなのか。……あっー!」


 エスタントアの腕が切り落とされた。エスタントアは苦しそうに息を吐く。


「これまでの戦いを見るに、奥の手がない限りエスタントアは負けるね。勝つ確率、10%程度だね」

「(エスタントアも名前で呼んだ……)ハンスは頭脳タイプってやつ?」

「はは、まぁね〜。ちょっと話題になったからキャラ変えようと思ってさ。元のキャラが抜けきれてなかったね。うざかったら黙るよ!」

「ふ〜ん、別にキャラ変えなくていいと思うけどね……奥の手だったらエスタントアも持ってるよ」


 エスタントアは盾使いの頭を潰し、剣士の臓物を取り出した。


『エスタントア選手の勝利でーす!』


「ありゃ、奥の手使わずに終わったか」


◆■◆■◆■

申し訳ございません。公開してると思ってた話で非公開でした。第二話 色々――を第二章に入れておきます。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る