第20話 おともたち

 ユウヤは毎日を楽しくやっていけている。迷宮を二人でスリルを味わいながら攻略し、家に帰ってクレナにその体験を話す。

 もし、その光景をクインに話せばクレナは殺されてしまうかもしれない。


 ユウヤは一週間のみでLevel5、エスタントアはLevel3にまで上がっていた。


 全てが順調に進んでいた時、カイマが四層で見つかった。カイマは頭にちっこい角が生えていたり、後ろにトゲのようなものが生えて、トカゲと竜の中間の見た目になっている。


「キュア〜ゥ!」


 ユウヤの胸に飛び込んでくる。両者ともに繋がりを感じているため、特に敵と勘違いすることもない。


「そのトカゲ?は何?」

「こいつは魔物だけど、カイマっていう名前があってぇ……あ、飼ってるんだよ」

「なんで、迷宮いたの?」


 ピキンっと、カイマの表面的な思考がユウヤの頭の中に入る。


「逃げてたみたい……」

「えぇ〜。そんなやつ無駄じゃない? 他に飼ってるやついない訳?」

「いや、スライムゥ…〜。いたな、そういえば。クイン達に話振られないから完全に忘れてた。回収出来るかな〜?」

「出来るでしょ」


 軽く話していると、人型の岩の塊が現れた。


「ミニゴーレムだ」

「強い?」

「物理で戦うなら、そこそこだね。関節狙うなら格闘、それか重量武器がいいかな」

「ふ〜ん」


 エスタントアは話半分で聞きながら、ミニゴーレムに近づいていく。ミニゴーレムは拳を振り下ろし、その体で突進したりとゴーレムにふさわしき攻撃を繰り出す。ただ、やはりミニであり、射程範囲リーチが短くすぐに避けられる。

 逆にエスタントアが貫手で関節を攻撃し、指を痛めて痛みに叫んだ。


「いったい! 嘘ついた。嘘!」

「おかしいな。関節弱いのは事実なんだが……」

「ふんっ! それじゃあ」


 手を黒い物体で包み込む。当然、ミニゴーレムは動くため、まさかの回転攻撃を繰り出して、エスタントアの頬にかする。


「危っないっなァ!」


 格闘ゲームのようにしゃがんで、足を殴りミニゴーレムを頭から倒した。そして、ミニゴーレム顔と体の間に手を差し込む。

 そのまま、グリグリと中をえぐって魔石を取り出した。


「なんか、ミニゴーレ厶の頭、凹凸になっててあれ剣差し込んでたら終わってたね」

「凶悪だな」


 そこで迷宮探索を終了して、家に帰ってクレナにカイマを見せた。


「うわっ、かわいい!」

「キュウ!」


 クレナがカイマを手に持って抱く。


「気に入られて良かったな」


 ユウヤはカイマの頭を撫でた。


 ◆■◆■◆■


 朝になると、ユウヤは病院に行って仲間達にスライムの居場所を聞いた。皆、「いない」と答える。だが、病院が全て預かっているらしく、事情を話すとすぐに返してくれた。


 スライムの大きさは分身状態(野球ボールサイズ)から二周りほど大きいくらいになっていた。

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