第35話 悲しき激突!イカ人間獣医!3

 セピアは叫びながら触手を繰り出した。

 キウイは構えた。


「俺は俺にできることをする! まずは!」


「ズボンだけでなく上着まで脱ぎ捨てました!? そして手には……アロマオイル!?」


「全身に塗る! うおおおおおお!!」ヌメヌメヌメヌメ


「ヌルヌルして触手が届きません!?」


 キウイは部屋の奥へ到達!


「スズ! みんな! 大丈夫!?」


「キウイ……きっと助けに来てくれると、信じてたにゃ」


「くっ、しかし猫ちゃんたちのもとへたどり着いて、何ができますか!? 猫を酔わせるだけのマタタビで!!」


「本で勉強した! これを使う!」


「それは毛玉!?」


「家に残ってたスズの毛玉だ! 吐かれて日にちが経って、中には虫がわいてる!

 これを! ガブガブガブ!」


「食べましたー!?」


 突如、キウイの体が発光!


 母が解説する!


「マタタビの果実に虫が寄生したものは生薬として利用され、猫にも効果はあります!

 その薬効は、『滋養強壮』!」


 キウイは光を集めた。マタタビエリクサーとでもいうべきエネルギーが、ねこみみ人間たちに降りそそぐ!


「! あったかいにゃ」


「力がみなぎるわぁ! これなら!」


「ボクのイケメンにかげりなし!」


「っしゃあ! 戦えるぜ!」


 キウイはうなずき、それから空を見上げた。


「みんな、病み上がりのとこ悪いけど、協力してくれ。同じ高さまで引きずり下ろすんだ、セピアさんを!」


「「「「応ッ!!」」」」


「くっ!?」


 セピアは触手で攻撃しようとした。


「サモン・ピラミッド!」


 床からせり上がるピラミッドで、キウイたちは上昇!


「トウガラシファイヤー!」


 火炎が触手をあぶりイカにしてはばむ!


「イケメン☆フラッシュ!」


 月光を浴びて透き通る肌が、セピアまでの光の道を作る!


「スズ! 一緒に行ける!?」


「キウイとならオールオッケーだにゃ!」


 スズはキウイの背中に乗った。キウイは光の道に寝そべり、そして!


「ヌルヌルオイルの人間ボブスレーで突っ込んできましたー!?」


「決めるんだ!! スズッ!!」


「いえっさーだにゃ! 第二の必殺技いくにゃ! 【朧幻牢オボロゲンロー】!! おぼろろろろろろろろろ!!」


「あぶべらほろげろひまかじま〜!?」


 スズは嘔吐! その激流は渦を巻き、毛玉がセピアの体をもみくちゃに叩き、さながら洗濯機のように回し続ける!


「た、叩かれて、触手の筋肉がほぐれて、力が抜けて! この下処理は……タコをやわらかく食べる方法ですぅ〜〜」


 触手が弱り、縮まり、セピアの体は床に降ろされ、目を回した。

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