第6話 灼熱激辛!五徳猫!1
バステト女神の分霊ジャミーラとのバトルから一夜明けて。
キウイはいざ普通に授業を受けるべく、学校に向かった。
「キウイはマジメだにゃ。これだけ猫に囲まれてたら、普通の人は骨抜きで学校なんて行きたくなくなるにゃ」
「学校行こうが行くまいがみんなまとわりついてくるじゃん……毎日やるのこの大名行列」
「キウイが望むなら、みこしを組んでかつぐこともできるにゃ」
「やめて! これ以上俺を目立たせないで!」
「なんて言いつつ、まんざらでもないんじゃないにゃ? 今までの人生、こんなに猫にまとわりつかれたことなんてないにゃ?」
「そうなんだけど限度ってあるからね? 朝起きるたび猫の山に埋まってるのさすがにうんざりするからね? 百匹乗っても大丈夫〜とかじゃないからね?」
「今度みんなでポーズ決めてみるにゃ」
「やめて! 俺をお立ち台にしないで! ちゃんと人間として扱って!」
「マタタビ人間は人間なのかにゃ? 永遠の課題だにゃ」
「アイアムヒューマーン!! 基本的人権を要求するー!!」
そして通学路。リーゼントの大男がいた。
ねこみみの。
「……なにあれ。昔の不良を頭だけおかしくしたみたいなのがいる」
「それは理性が変という意味かにゃ?」
「違う! いや違わないのかもしれないけど! 頭に乗ってるヤツのこと!」
「リーゼントは確かに変だにゃ」
「そっちじゃない!! いや現代でリーゼントも確かに変なんだけど!! ねこみみの方ね!!」
「そのねこみみの間に、さらに変なものが乗ってるにゃ」
「あ、うんそうなんだよね……あれなんて言ったっけ? ガスコンロで火にかけるとき、かぎ爪みたいなのが円形に並んでて、鍋とかやかんとか置くやつ」
「息子よ! それは五徳! そして彼は五徳猫!」
「知ってるの母ちゃん!? そしてまたしてもなんで通学路にいるの!?」
「五徳猫とは猫又の一種で、頭に五徳を乗せていろりの火をくべる妖怪! 何かを忘れてしまい火を見ながら思い出そうとしているという伝承もあります!」
「おう! その通りだぜ奥さんよォ!」
ねこみみリーゼントがズンズンと歩み寄り、キウイたちに自己紹介した。
「オレサマは五徳猫のアブリマルってんだ! 思い出せねー昔の記憶を求めて炎の旅をしてんだぜ!」
「ほ、炎の旅? どういう意味?」
「忘れたッ!!」
「その時点で忘れてるの!?」
「男の旅はロマンとパッションでするもんだぜ! そして旅のお供には嗜好品が欲しいよなァ!」
「ちょっ何!?」
アブリマルはキウイをつかみ、においを吸い込んだ!
「スゥゥゥ〜ハァァァ〜こいつぁキクぜぇ〜最高にトリップしちまうぜぇ〜」
「やめて!! 俺をなんか危ないおクスリみたいなテンションで吸わないで!!」
「マタタビのフレーバーなんだから、猫にとっては危ないおクスリに違いないにゃ」
アブリマルはキウイを小脇にかかえた。
「ボウズ! オレサマの旅に付き合え! ひとまず日本一周といくぜぇ!」
「いやぁぁ拉致られるー!! そんなに長い旅はできないよー!!」
「その通りだにゃ」
アブリマルの前に、スズが立ちはだかった。
「キウイはスズのもとで、世界に君臨するマタタビ人間になるべく修行中なのにゃ。勝手に連れ出すことは、町猫番長のスズが許さないにゃ」
「止めてくれるのはありがたいけど俺の将来をねつ造しないで!!」
アブリマルはスズを見下ろし、ガンを飛ばした。
「あ〜ん? オレサマにケンカ売ろうってのか? チビちゃんよォ〜」
「もともとスズの所有物なんだから、それを持ってくオマエが不届き者だにゃ。あとチビって言うなにゃ」
「俺スズの所有物じゃないよ?」
アブリマルとスズ、両者の視線がぶつかり、バチバチと火花を散らした。
「口で言ってもきっとラチがあかないにゃ」
「おうよ! てめーも番長を名乗る身なら、やることはひとつだよなァ!」
二人はこぶしを構える!
「「ケンカで決める!!」」
「またバトルするのー!? 俺もしかして今日も授業受けられないのー!?」
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