第79話 仲間よ結束せよ!スズ奪還作戦!5

「フー……あんたは強いよ、誇っていい。

 ただアタイの方が強かった、それだけがこの結果の理由さね」


「深刻なダメージが発生……継戦不能……否……気力による戦闘続行……」


 なお立ちあがろうとするカムカムに、金華猫ユエニィエはトドメを刺そうとする。


 そのとき、振動、轟音。


 兵士の一人が駆け寄った。


「で、伝令! 敵襲です! 町の外から!

 敵はドリームワールド外、現実世界からです! それも東と西、二勢力!」


「なんだって……!?

 特別な招待がなければ入れないこの場所に、二勢力も乱入……!?」


 ユエニィエはそれらの方角に顔をめぐらす。


 東側!

 追い立てられたハンサミィを押し潰さんとする兵士の群れ、それがあふれる果汁にはじき飛ばされる!


「ンモー、せっかくマイハニーたちと一家だんらんしようと帰ったのに、みんなおらんのだもん。ワシぷんぷんよ!

 普通じゃ入れないトコだけど、ワシ神様だもんね! 神様パワーで強引に乗り込んじゃったわい!」


 ハンサミィは見上げた。

 宙に浮かぶのは世界樹ユグドラシルの化身カイジュ! そして付き従う、大天使トリオ!


「ははっ! 夢の国なんてウキウキだね! でも夢は覚めるものだよ、閉園時間には帰してくれないと! ははっ!」


「勘弁して欲しいっすよーこっち非番だったんすけどー。これ時間外労働つくんでしょうねー? 危険手当も出るんすかー?」


「かつては敵対した関係ですが、フゥー上司の命令です。助けます」


 ユエニィエが駆けつけ、兵士とともに突撃!

 カイジュの号令により、大天使たちは構える……世界樹ジャム!


 西側!

 突然の乱入者に、グリグリはにやにや笑いをゆがめ、エノコローは下がっていた口角を上げた。

 乱入者はハットのずれを直し、語った。


「猫は家になつくと言いますが、犬は人になつきます。

 一度主人と定めた者には、どんな障害があろうと駆けつけますとも。

 小生らいぬみみ人間、キウイ少年らの危機に加勢しましょう」


 乱入したクー・シーのワン・チャンに、グリグリは突撃!

 その間に入るのは、フェンリルのリィルゥ!


「知ってっか? 神々に封印された魔狼フェンリルは、ものに噛みつけないように口につっかえ棒を入れられたんだ。

 開きっぱなしになった口からは大量のよだれが流れて、希望の川になったというぜ!」


 グリグリはいぶかしんだ。

 リィルゥは次の瞬間、口を大きく開けた。


「【魔狼大河戒ヴァン・レージング】! おぼろろろろろろろろろろ!」


「ぎゃああああ〜〜!?」


 よだれ大瀑布! 高速移動ではよけようのない空間飽和攻撃に、グリグリはなすすべなく押し流された!

 加勢により、戦況はかたむく……!

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