第64話 騒げ、騒げ。猫も犬も人間も、みんな、みんな!2

「いやはやおもしろいことになってるねえ! ぞうみみ人間、インド神ガネーシャの分霊パオンヌ! 楽しくて耳がパタパタしてしまうよ!」


「周りにぶつけないようにね?」


「ウッキー! 楽しいお祭り楽しむじゃん? さるみみ人間、孫悟空の分身アイアイじゃん!」


「ごめん普通の人間と耳の違いが分からないな!?」


「へびみみ人間のヤマタなのじゃー、お酒が飲みたいのじゃー」


「耳どこかなぁ!?」


 大量に設置されたステージのひとつ、くまみみ人間がおたけびを上げた!


「うおーん! くまみみ人間のキントキ、相撲がしたいぞーっ! だれか力自慢はおらんかーっ!」


「アタシが相手するぜ!」


 フェンリルのリィルゥが上がった!


「ダンスだけじゃ物足りなかったんだ! 力比べの場があるなんて願ってもねぇ!」


「どすこーい!」


 思い思いのパフォーマンスに、観客は沸き立つ。

 人波はどんどん広がり、すみっこで目立たないからと受け持っていた、踊り猫シャラヒメのステージまで押し寄せた。


(ど、どうしよう!? こっちまで来ちゃった!? また気持ち悪いって思われちゃうの!?)


 笛を吹き続けながら、シャラヒメは恐怖にふるえた。

 しかし嫌悪などそこにはない。当然だ、こんなにけもみみ人間がいる状況なのだから。

 シャラヒメはただ、歓声に包まれた。初めて感じる、高揚感だった。


(ああ……! いいんだ!

 わたし、吹いていいんだ!

 このまま、笛を、吹き続けても!)


 涙を流しながら、シャラヒメは舞い、笛を響かせる。高らかに。高らかに!


 空には満月! それは変形合体し、うさみみ人間型超合金ロボ「MOCHI-DSUKIモチヅキ」が爆進! 石うす型ミサイルポッドから、地上に向けてつきたてのお餅をふるまった!


「ねぇ親父どこまで声かけたの!? これ収集つく!?」


「そりゃまーあれよ、あとはキウイたんの手腕に任せるぞっ☆」


「クソ親父ー!!」


 人波の中で、キャスパリーグのハンサミィは辺りを見回した。

 予感があった。

 走り出した。ダンスペアのカムカムも置き去りに。

 そして彼は、声を上げた。


「母さん……!!」


 ぶたみみ人間。豊穣の豚ヘンウェン。災厄の獣キャスパリーグを産み落とした。その分霊が、そこにいた。

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