第77話 仲間よ結束せよ!スズ奪還作戦!3
「フー……王は取り込み中だよ、王宮にすら近づいてほしくないね……
中で戦いになると面倒だから先んじて探しに来たけど、すぐに見つけられてラッキーさね……」
「招く。カムカムたちをすぐに見つける幸運と、それが鏡に映った姿でタイミングをずらされる不幸」
アブリマルのトウガラシファイヤーで先制攻撃!
金華猫ユエニィエはエネルギー弾で打ち消した!
さらに攻めようとするユエニィエに、招き猫カムカムは立ち塞がる!
「金華猫は異性を誘惑すると言われるが、カムカムは招き猫であり性別を持たない。よって相性有利と判断、カムカムが単独で妨害するのが妥当」
そしてカムカムは、仲間たちを振り向いた。
「……カムカムは祈る。幸運あれ。
そしてマスター、セピア。要求。この戦いが終わったら、抱きしめてほしい」
「カムカム……! ええ、ええ! 必ず!
だからカムカムも、無事でいてください!」
カムカムは答えない。
ただ黙って、サムアップした。
キウイたちは走る!
そこにもう一人の側近、チェシャ猫グリグリ!
「にしし! 行かせまへんでー!」
「ケヒャァ!!」
高速接近する突撃は風にはばまれた!
「側近っぽいこいつらが外にいるってことはァ、王の周りは手薄になってる可能性が高いなァ……! ならオレがこいつを抑えるぜェ……!」
「エノコローさん、一人でいけるの!?」
「無論だァ……! なぜならオレはねこじゃらしマスター! 猫をモフることにすべてを懸けた男だからなァ!!」
高速移動と突風がぶつかり合う中、キウイたちは駆ける!
見えた! 王宮!
その屋上に巨大マジックアイテム、それは野球ドームのように巨大な物体を……射出!
「や、やべぇ!? あの円盤状の物体、立ちのぼるソースの香りと踊るかつおぶし!
あ……あれは超巨大な『お好み焼き』だぜ!!」
「なんでさ!?」
「息子よ! 徴収されたかつおぶし! そしてウルタールの特産品キャベツ!
そのふたつの食材が組み合わされば、できる料理は限られるでしょう!」
「百歩ゆずってその組み合わせでお好み焼きができるのはいいとして、なんで今それが来るのさ!?」
迫るお好み焼き! でかい!
このままでは全員ぺしゃんこなのはもちろん、町にも甚大な被害が……!
「くっ……イカ触手バリケードーっ!!」
「セピアさん!?」
張りめぐらされたイカ触手のネットに、お好み焼きが激突!
お好み焼きとイカ! ベストマッチ! アツアツのお好み焼きにイカ触手は加熱! うまそうなにおいが立ち込め、洗脳された兵士すらも立ち止まる!
「わ、私が食い止めます! 猫ちゃんを傷つけるわけにはいきませんから!
あーっ猫ちゃんダメです触手かじらないでください腰が抜けちゃいますよー!?」
「オレサマがトウガラシを振りかけるぜ! 辛くて普通の猫が食えねーようにな!」
「母はお好み焼きを小さく切り分けましょう!」
「ねぇこれなんの作業!? これバトルなのなんなの!?」
しっちゃかめっちゃかの中、キウイは気づけなかった。
ジャミーラが一人、王宮に乗り込んでいったことに。
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