第38話 ねこねこ温泉旅行!2

 そして温泉。


 アブリマルとジャミーラが二人そろってサウナでのぼせたり、ハンサミィがセクシーなポーズを決めすぎて浴場を破壊したりしたが割愛。




 そして温泉卓球。


「それじゃ俺からサービス行くよー。そーれ」ぽーん


「キャッチだにゃ!」はしっ


「もう一球いくよー」ぽーん


「キャッチだわぁ!」はしっ


「みんなルール分かってるかなぁ!?」


「ケヒャヒャヒャ……ねこじゃらしさばきの応用で空間すべてがオレのフィールドだァ……! 風のラケットで打ち返し風のネットで攻撃を防ぐゥ……!」


「あなたは物理法則って知ってるかなぁ!?」




そして宴会場。


「オレサマの宴会芸を堪能しなァ! 火吹き腹踊り!」くねくね〜


「ぎゃはははは! アブちゃんそれ最高〜チョーおもしろいわぁ〜! ぶははははイーヒヒヒヒヒげっほごっほ」


「セピアさん、なかなかに飲めますね。もう一杯どうぞ」


「や、キウイさんのお母さんーあんまり飲みすぎるとそのー……あっ酔いすぎてイカ触手があふれますー!?」


「イケメンのボクの浴衣に被弾! ボクの肌がはだけ触手がからまりセクシーイケメンレベルが上昇!」


「触手が暴走するが、おかげでセクシーイベントが発生。これにてプラマイゼロ」


「ゼロ点調整マジメにやって!?」




 そして夜。


 キウイは一人、自販機前で座っていた。


「すっげー疲れた……なんだかんだ楽しかったけど」


 しばし一人の静寂を……と思ってたら、騒がしい声が響いてきた。


「ちょっジャミーラふざけるなだにゃ! セピアも酔ってて話を聞かんにゃ! にゃにゃー!?」


 スズがキウイのもとへ突き飛ばされてきた。かわいくおめかしされて。


「キウイ!? 違うにゃこれは、セピアに飾りつけされて、キウイにかわいいって思ってもらおうとかそんなんじゃなくてだにゃ!?」


 向こうでくすくす笑うのが、キウイの耳にも届いた。


「あー……まあ座りなよ」


「う、うんだにゃ……」


 二人並んで座り、飲み物を買った。

 一息つき、しばらくして、キウイから話しかけた。


「ありがとね、スズ。マタタビ人間なんて体質になってから、こうして楽しく過ごせてるのは、スズのおかげだと思ってるよ」


「急になんだにゃ、改まって」


「まあセピアさんのことがあったからね」


「まあ……そうにゃ」


「この体質になっていろいろ巻き込まれたけど、スズはそうやって戦った相手と仲良くなって、おかげで俺も友達が増えた。すごいことだと思うよ」


「スズは別に……すごくないにゃ。ただ、キウイに」


「ん?」


「なんでもないにゃ」


「……あと、その格好似合ってるよ? かわいい」


「オマエ唐突なんだにゃ!!」


「痛い!! すね蹴られた!!」


 そばの窓から、月明かりが差し込んでいた。

 廊下の向こうから、その奥の向こうからも、みんなの笑い声が聞こえる。

 普通ではないけれど、こんな楽しい日常なら歓迎できる。キウイはそう思った。

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