第37話 ねこねこ温泉旅行!1
「温泉旅行だにゃー!」
「「「どんどんぱふぱふー!」」」
「みんなテンション高いねえ」
動物病院騒動からしばらく経って、休日。
キウイたち一同は、温泉旅館に来た。
「ケヒャヒャヒャ……オレも一緒に楽しませてもらうぜェ……」
「母も羽を伸ばさせていただきます」
「セピアさん、ホントにこんな大人数でいいんですか? 全部セピアさんが負担して、相当な金額になるんじゃあ……」
「いえいえそんな、むしろ負担させてくださいー。あれだけのことをしたんです、これくらいもできなかったら、私は私を許せません」
「はあ、まあそう言うなら……
でもなんで温泉旅館? スズたちのリクエストらしいけど、猫ってお風呂とか苦手なんじゃあ?」
「キウイは分かってないにゃ!」
「そうよぉダーリン! 温泉といえば猫たち大興奮のアレがあるわぁ!」
「男として、熱い風呂やサウナも捨てがたいが、やっぱ猫ならアレだよなあ!」
「イケメンのボクの心すら魅了する、あの軽やかな球体、小気味よい音を響かせて往復する魔性の存在!」
「「「「温泉卓球!!」」」」
「あー……そういや猫ってピンポン玉も好きだもんねえ」
「そういうわけで、さっそく乗り込むにゃ、セピア」
「えっ、あっ? 私?」
スズはセピアと手をつないだ。
「あのスズちゃん、そんなことしたらうれしいですけどイカの毒にやられちゃいますよ?」
「キウイに回復してもらえば平気だにゃ。今まで猫に触れ合えなかった分、存分にスズの肉球を堪能するといいにゃ」
「あのあの、えと……」
スズはそれから、後ろを振り返った。招き猫カムカムが、さみしそうな無表情で控えていた。
「おいカムカム、何やってるにゃ」
「え……」
「反対の手が空いてるにゃ」
「あ……」
カムカムはセピアの手を見て、それから顔を見た。おずおずと、自分の手をその手につないだ。
「マスター……」
「カムカム……」
セピアはカムカムの顔を見て、それからスズも見て、最終的に涙ぐんだ。
「えううう、わた、私こんな幸せでいいんでしょうか、悪いことしたのにいいい」
「オマエよくそんな性格であれだけはっちゃけれたにゃ」
キウイはその様子を、喜ばしく見ていた。
「さぁてぇダーリン〜? スズのお手々がふさがってるからぁ、ダーリンはわたくしがつないであげるわぁ〜」
「えっ俺いいよ!?」
「オ、オマエーっ!? 何を油断もスキもないことやってるにゃ!?」
「あらぁ〜、そんなに言うならスズがダーリンとつないだらぁ?」
「ちょっそういうこと言ってんじゃないにゃ!?」
ジャミーラはスズとキウイの手を強引につながせ、自分はセピアの手を取って歩き出してしまった。
キウイはスズを見下ろした。手を握ったまま、顔を赤くしてうつむいてぷるぷるとふるえていた。
「……離す?」
「ヤだにゃ」
「「にやにや」」
「笑ってんじゃないにゃヤロー二匹!!」
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